第二十八話
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伸びてきた手を、俺はよけた。
「その呼び方すんなって、もう何回目!?」
「まあまあ、いいじゃねえかラッちゃん。可愛いあだ名だと思うぜ?」
「ほんの少しでも名前の原型が残ってれば受け入れるわよ!でも、原型どこにもないじゃない!」
「でも、泳ぐの好きだろ?」
「確かにそうだけど!」
うんうん、このやり取りも本当に懐かしいな。
ラッちゃんは、名前の通りイタチの妖怪だ。正確には、母親がイタチの妖怪で父親はイタチのクオーター。
結果として、八分の三人間、残りは人間と言う何とも言い難い血の引き方をしている。
「はぁ・・・じゃあ、ちゃんと話してもらうわよ?」
「OK。とりあえず、ラッちゃんはどこまで知ってるんだ?」
「だから、その呼び方するなって・・・まあいいわ。そうね・・・知ってるのは、霊獣白澤が率いていた妖怪の群れによって、本家分家がすべて同時に襲撃を受け、鬼道の血は全滅した、って感じかしら?」
「つまり、一般的に広まってるのそのままだ、と」
光也のやつ、中々に丁寧な仕事をしたみたいだな。
さて、どこまで話すか・・・
「あ、それとその白澤については席組みが退治した、とも聞いてるわ」
「あー・・・それについては事実だな」
畜生、中途半端に誤魔化しにくい・・・
「それで?何でカズは生きてるのかしら?」
「そうだな・・・とりあえず、うちが本家分家関係なく妖怪の群れに襲われたのは事実だ」
んで、今の地位とあわせて考えると・・
「んでもって、俺と湖札以外は全員殺された」
「・・・湖札ちゃんは、外国を回ってるから分かるとして・・・アンタは?」
「・・・全部、殺した」
その瞬間にラッちゃんがカップを落としそうになったので、手を伸ばして受け止めてからテーブルに戻す。
「話を戻しても?」
「・・・ええ、お願い」
「じゃあ・・・まず、家に帰ったら大量の妖怪がいて、家族を皆殺されたからぶちギレて殺しつくした。分家の方に行ってたやつらも来たから、それも殺した」
「・・・大概、規格外ね」
「自覚はしてるよ。そうでもなけりゃ、第十五位にはなれない。・・・で、白澤にも何も考えずに立ち向かって、気づいたら今の席組みの一人が殺してた」
うん、嘘はついていない。
間違いなく、どんどん来る妖怪を片っ端から殺していったのは俺だし、白澤を殺したのも今の席組みの第三席が殺した。
だから嘘はついてない。心は痛まない。うん、オッケー。
「・・・運がよかったわね」
「まあ、そうだな。運は良かった」
「それで?今の立場になったいきさつは?」
「まず・・・まだ俺が奥義を体現できてなかったから、鬼道の一族は一時的に滅ぶことになる。んで、うちはあんまり評判が良くないからな・・・
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