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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第407話】
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タシはあんたと一緒にモノレール乗って席が隣同士で色々喋りながら学園に戻りたいだなんて、思ってないんだからッ!」


 何故か顔を真っ赤にしつつ、俺を指差す鈴音が妙に可愛く見えた。


「そっか。 ならそれはまた今度だな」

「ふ、ふん。 べ、別に期待してないんだから――ほ、ほら、駅まで送ってくれるんでしょッ! 早く行くわよ、ヒルトッ!」


 そう言って腕を取り、絡ませる鈴音――側で見た感じだと、後遺症等は特に無さそうに見える。

 俺は一旦鈴音を駅まで送る為、一夏の家から離れる事にした。

 道中、車のヘッドライトの明かりが俺と鈴音を照らして横を抜けていく。

 狭い道の為、流石に車も速度を落としていたが俺は鈴音に当たらないようにさりげなく庇う形で進んでいく。

 何処かからか鈴虫の鳴く声が聞こえてきて、秋も本番だなと改めて思わされた。


「ひ、ヒルト?」

「ん? 何だ?」

「な、何でもないっ。 ……よ、呼んでみたかっただけ……それだけよっ」


 ぷいっと顔を背ける鈴音、ツインテールが揺れ、その髪が俺の腕に触れた。

 ……確か、鈴音って身長150センチだったよな。

 そう思い、鈴音をちらりと横目で見ると少し歩きにくそうにしていた。


「……鈴音、歩きにくそうだな。 無理して腕組みしなくていいぞ?」

「ぅ……。 あ、アタシの勝手じゃんっ。 バカヒルト……」


 行き交う車のヘッドライトが、赤くなった鈴音の表情を鮮明に照らす。

 だが、流石に歩きにくそうにしていると俺も気になり腕を組むのを止めると鈴音は小さな声を洩らし、少し顔を俯かせる。


「鈴音、ほら。 手を出せよ」

「……へ?」


 差し出した俺の手と顔を交互に見る鈴音に対して、俺は左手で軽く頬を掻きながら――。


「こ、これなら歩きにくくないだろ? ……ほら、行くぞ……」

「ぁ……ぅ、ぅん。 …………ぁりがと」


 俺の手を取ると、さっきと同様に顔を背ける鈴音、だがお礼の言葉は鈴虫の鳴く音色と共に聞こえてきた。

 少し嬉しく思うと、俺と鈴音は再度駅へと向かった……。
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