明かされた秘密
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かもしれない。
「純白のブリュンヒルトと真紅のシュヴェルトライテ、宮廷にあっても戦陣にあってもさぞ似合いの一対となったであろうな」
のう、フォン・キルヒアイス。
エリザベートが生ける人を目の前にするかのようにそう口にした時、アルフレット・ブルーノは思わず後ろを振り返っていた。誰もいないことを確かめて向き直った空間には、二つの光景が現れていた。常人の視力で見ることが叶うものではない。アルフレット・ブルーノにもロルフにも、見ることなど叶わない。だが、それは確かに存在した。
皇帝の計画された自殺を証言する無数の証言者たちと、皇帝が絶対者としての意志を発揮しもう一人の権臣を作り出した歴史は。そして、もう一つの歴史はそれ自体が巨大な証言者であった。華麗な歴史絵巻はだが、恐怖しか呼び起しはしなかった。
「恐れずともよい。描けなどとは申さぬ」
ルードヴィヒ皇太子の肖像を見つめたままエリザベートが言ったとき、ロルフは安堵のあまり崩れ落ちた。
アルフレット・ブルーノも膝を着いた。
矜持にかけて立っていようとして失敗した結果であった。
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