星竜の巫女
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「解釈していないのか」
この複雑な口調も、今では少し慣れ始めている。
解釈していないのか、は、パラゴーネ的には「知らないのか」と聞いているのだ。
敢えて複雑な単語を選ぶパラゴーネの言葉を脳内で単純にしてから、意味を理解したグレイは頷いた。
「・・・そうか。なら、まずはそこから論説しなければな」
説明しなければなっつったのか、と理解しながら、走り始める。
パラゴーネも止めていた足を動かし、その姿を追った。
「星竜の巫女は、カトレーンの“力を所有しない女”を示す。因みに力を所有しない男は養子に出されるそうだ」
タタタタタ・・・と小さな足音が響く。
桃色の髪を揺らして、先へと進んでいく。
「力を所有しない女は稀だ。カトレーンの長い史伝の中でも、ティア嬢を含めて13人しか存在していない」
「随分少ねえな」
「私もそう思う。が、星竜の巫女はそんなに多々誕生していい存在ではない」
「そりゃまた何で」
グレイの問いに、パラゴーネは少し黙った。
その瞳が揺れている。
黙っている事はしないと決めたが、ここから先を語っていいのか解らない、といった様子だ。
しばらく目線を彷徨わせると、口を開く。
「・・・“願う”力を所有するから」
「願う?」
意味が解らなかった。
願うだけならグレイにだって出来る。手を合わせて、願いたい事を心の中で言うだけだ。
それでも確実に叶う訳ではないし、叶うとしても、それは願った人間の1割にも満たないだろう。
―――――――だが、そんなグレイの考えなんて、最初から解っていたように。
パラゴーネは、それを否定する。
「お前には願えない。私にも不可能だし、それが可能なのは現在2人だけだ」
そう言って、足を止める。
つられるように足を止めて振り返ると、パラゴーネはゆっくりと口を開いた。
「巫女は―――――星竜シュテルロギアの御魂に、直接願う力を所有する」
「っがああああ!」
鋭い斬撃。
避ける暇さえ与えず、エルザは再び剣を振るう。
その目は鋭く、怒りを燃やしていた。
「私達は、死ぬ為に来ている訳じゃない」
明星の鎧から、黒羽の鎧へ。
緋色の髪をポニーテールに結わえたエルザは、剣を強く握りしめる。
「私達は、仲間と生きる為に戦いに来ているんだ!」
叫ぶ。
ムサシが立ち上がり、村正を構える隙さえ与えない。
ダン!と地を蹴って瞬時にムサシの懐へと入り、一閃。
「うぐっ!」
腹に走る痛みに顔を顰める。
次にエルザが攻撃する前に距離を取るべく、ムサシは後方へと跳んだ。
エルザは鋭い目でムサシを睨んでいる。
(強すぎる・・・オレには荷
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