星竜の巫女
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肩に毛先が乗るくらいの、淡い桃色の髪を靡かせる。
見上げるように、紅蓮の瞳がグレイを見つめていた。
1度閉じられた唇が、動く。
「お前は私が憧れた魔導士の弟子。あの造形技術は、確実に私が憧れたモノだった。だったら、私にもその造形技術を訓諭してほしい。それで、少しでも憧れに近づけるのなら」
その目は、本気だった。
微塵の冗談も含まれていない、純粋な瞳だった。
グレイはこの目に似た目を、知っている。
『ウルはオレの目標なんだ。いつかウルに勝つ事が、オレの夢なんだ』
キラキラとした目でそう語っていた、在りし日の兄弟子。
ただ純粋に夢を語っていた頃の、本気の目。
今のパラゴーネの目は、その目にそっくりだった。
でも、だからこそ。
「・・・無理だ」
パラゴーネの目が見開かれた。
純粋に、ただ真っ直ぐに憧れに近づく事を願う瞳に、暗い光が射しこむ。
が、すぐに瞳は伏せられ、その顔は前を向いた。
「何を専心に思考している。諧謔に決しているだろう。急け、あと1時間50分しか残余していない」
「・・・ああ」
急かされ、駆け出す。
パラゴーネは諧謔―――――冗談だと言ったけれど、グレイは気づいていた。
あの目が、在りし日の兄弟子と同じ目なのであれば―――――冗談なんかじゃなかったハズだ。
けど、だからこそ、簡単に頷けない。
「・・・でも」
グレイの表情が先ほどまでと違う事に、気づいたのだろう。
足を止めずに、パラゴーネは呟く。
「少しでもウルに近づきたいと思ったのは、本当だ」
そう呟いて、駆ける。
先ほどまで確かに敵対していた相手と、肩を並べて。
ふ、と薄い笑みを浮かべながら、パラゴーネは言う。
「だから、付き合わせろ。ウル直伝の造形を、今は少しでも長く見ていたい」
空気を切る音が耳に入り、数秒と待たずに鉄と鉄がぶつかるような音が響いた。
“飛翔の鎧”を纏うエルザと、“妖刀・村正”を構えるムサシが対峙する。
「ハアッ!」
「避、蹴、跳・・・“斬”」
エルザが振るう剣を避け、床を蹴って跳び、村正を振り下ろす。
バッ!と音がしそうな勢いでエルザは刀を飛んで避け、その身が光で包まれた。
豹柄の、露出度の高い鎧から、レオタードに似た形状の鎧に換装する。
「明星・光粒子の剣!」
「ぐううっ!」
ムサシに向けた2本の剣の切っ先から、光が放たれる。
それを正面から喰らったムサシは後方へと飛ばされ、タン、と小さく音を立てて着地した。
「ふふ、流石の一言に尽きるな」
「貴様等の目的は何だ。私達の仲間に手を出すなど、ただでは済まんぞ」
「済ませる気はない。ティア嬢は今日生きる
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