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乱世の確率事象改変
入り混じるは想いか欲か
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を見てみたいモノだわ。食事はちゃんと出来てるのか、虐待を受けたりしてないのか、酷い目にあったりしてないのか、可愛かったから本当に心配だもの」

 ビシビシと空気が張りつめて行く中で、首を傾げるのは袁術と文醜。二人はこの話の内容が分かっていないらしい。
 突然、堪えきれないというように張コウが腹を抱えて大笑いしだした。

「ひひ、あはっ、あはははははは! おんもしろーい♪ 攫われる程可愛い猫なんだから、他の主の所で平穏に暮らしてるに決まってるじゃんかぁ♪ あ! 無理矢理帰らないって事はそっちの方が楽しくて帰りたくないのかも♪ 昔の家の事なんか忘れちゃってるかもねー」
「クカカ、しっくりきますねぇ! 昔の主に爪を立てたりするかもしれませんし……ククっ」
「……むぅ、何やら楽しそうじゃのぉ。猪々子は『ひゆ』表現って分かるかえ?」
「いや、あたいにもさっぱり。子猫が可愛いって話じゃないんですかね?」

 イライラがまた降り積もっていく。
 抑えろ抑えろと自分に言い聞かせて、記憶にある妹の笑顔を思い出して耐えていた。
 挑発が大好きな奴等なんだから、乗ってやるわけには行かない。

「明、郭図、それくらいにしておいてあげて。私まで笑えて来てしまう。それに総大将の公路が置いてけぼりでは可哀相」
「はいはい。全く……もう少し楽しませてくれてもいいと思いますがねぇ。とりあえず……孫策軍は出るんですか? 出ないんですか? 一応こちらから後詰は出しますから、負けてくれても構いませんよ」
「……出るわ」
「ああ、後ろで安心して見ているがいい」

 驚いた。
 まさか冥琳が合わせてそんな事を言うとは思わなかったから。
 チラと顔を伺うと、いつも通りの凛々しい表情で安心が心に湧く。もしかしたら何か思いついたのかもしれない。

「……決行は明後日にして貰う。七乃、それでいい?」
「そうですねぇ。ではそうして貰いましょうか♪ それでは軍議を終わりまぁす」

 緩い声で〆られ、つつがなく軍議はお開きとなり、私と冥琳はゆっくりと天幕を出て行った。
 袁術軍の陣内を歩いている間も終始無言の彼女は、やはり何かを考えついているようで、眉間に皺を寄せて難しい顔をしていた。

「ありがと、冥琳」
「構わん。あれだけの挑発によく耐えてくれたと褒めたいくらいだ」
「わぁ、めっずらしい」
「余り調子に乗られても困るがな。それより……いや、まずはお前の火照りを解こうか。夏候惇とやり合った熱が残っているのだろう?」

 真剣な眼差しは察しろと暗に伝えていた。
 周りに気配が五つ。監視の目はやはりいるようだった。冥琳から誘ってくるという事は、終わった後に大事な話をするという事。睦み事の後でなら細やかな会話くらいは聞かれる事も無い。

「そうね
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