入り混じるは想いか欲か
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みで何か考えているのかもしれない。
湧いて出てくる疑心暗鬼に陥っていく思考の途中で、皆に情報が行き渡った事に満足したのか、うんうんと頷いて張勲が続けて行く。
「そこで夕ちゃんと郭図さんに聞きたいのですが、これからどうします?」
まさに投槍。
一応の総大将である袁術が大筋を決められないから仕方のない事とはいえ、手を組んだだけの相手にそのまま丸投げするのはどうなのか。思わず呆れてしまう。
「孫策軍は曹操軍とかなりいい具合に戦えているようですし、多方向から奇襲でも仕掛けて貰うのがいいでしょうねぇ。ほら、誰かさんが城を放って逃げましたから残された時間も少ないですからねぇ」
チラリと田豊に視線を向けた郭図の言は、田豊を責めているのだと丸わかりだった。
「私も同意する。ただでさえ長期の遠征の連続でこちらの兵は疲労の度合いが濃い。十分の一程度の部隊に壊滅させられる程だから」
返す言葉は同意だが、皮肉を付け足すことを忘れない田豊。
下らない喧嘩に付き合っている暇は無い。奴等の中での決定は、私や冥琳がいくら言おうと覆る事は無いのだから。
しかし……ここで軽い反発を混ぜておいた方がいい。
「まさか私達だけってわけじゃないでしょうね?」
「おやおや、孫呉の兵は精兵だーなんて聞きますし、敵の数が減ったならいけるんじゃないんですか? 率いる大将が引き腰ではたかが知れてるというモノですねぇ」
「どうやら虎からは猫も生まれるらしい。公路、飼い猫はちゃんとしつけないとダメ。臆病な飼い猫も、主がしっかりとしてたら勇敢な……ふふ、それでも猫は猫でしかない」
普段はいがみ合っているくせに、こういう時だけ郭図と田豊は息を合わせて貶めてきた。
話を向けられた袁術は不思議そうに首を捻った。
「虎から生まれる猫は聞いた事が無いのう……。まあ、所詮は猫じゃろうし、臆病ゆえにひっかいてくるくらい可愛いもんじゃろ♪ のう、七乃?」
「やぁん♪ 比喩表現に気付かないまま火に油を注ぐなんて、さすがです美羽様♪ でも美羽様ぁ? 若い子猫なら楽しく遊べますからもーっと可愛いですよねぇ?」
「っ!」
「子猫が愛らしいのは誰にとっても同じだろうな。ふふ、出来るなら私達も共に遊びたいモノだ」
我慢出来ずに激発しかけた。
まさか……ここで小蓮の事を匂わせてくるなんて思っても見なかったから。
冥琳が咄嗟の機転で声を上げてくれたから、どうにか抑えられた。
冷やかに見つめる瞳は、全てをふいにするつもりかと責めているかのよう。
片目を瞑って謝罪を伝え、にやにやと私を見ている田豊と郭図、張コウに出来る限り柔和に微笑んだ。
「昔は私の家にも子猫が居たんだけど、攫われちゃってねぇ。何年か経ったし、出来る事なら成長した姿
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