入り混じるは想いか欲か
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けど……あー、なんかダメな感じがする。
なんとなく、そう思った。
蓮華は確かに成長しているだろうけど、私の勘は別の方向に行ってしまったと告げていた。
誰にも聞こえないように、小さく、ほんの小さく息を落とす。
どうせいつかはぶつかる問題だった。先行く王としては伝えておかなければいけない事だった。しかし、やはり私は姉で、妹には甘いらしい。
心が落ち込んで行くのが分かる。
あの優しい子に、汚く、醜く、綺麗事など有り得ない戦争の理と、凍土のように冷たく厳しい王の先見を教えなければいけないのだと。
「では次は……って孫策さぁん、大丈夫ですかぁ?」
柔らかいながらも、何処か棘のある声が耳に突き刺さる。
張勲が帽子をクイと持ち上げて私を見据え、横で冥琳が大きなため息を落とした。
「ごめんごめん。夏候惇との戦闘が激しかったからちょっとぼーっとしちゃって」
ペロリと舌を出しておく。
嘘は言ってない。結構……血が湧き、肉が踊る戦いだったから未だに身体が火照っていた。
「むぅ、その割には元気そうじゃの? もしやお主、手を抜いておったのではあるまいな?」
顔を顰めながら、ジト目で袁術が見据えてきた。
後ろの本陣でお菓子を貪っていたくせに……自分が戦ってみたらどうだと言い返してやりたくなったが、どうにか抑え込んだ。
「んなわきゃないでしょ? 張コウなら分かるんじゃない?」
「あたしに振るな血狂い虎」
軽く言ってみるが、張コウは冷たい瞳を一瞬だけ向けて、は……と呆れたように息を漏らした。
うざったい奴。私が来る前にお前が戦っていたのだから、少しは乗ってくれればいいのに。
険悪な雰囲気になりかけた所を、何故か文醜が張コウの肩を叩いて割って入った。
「まあまあ。明、そんな尖ったら可愛い顔が台無しだぜ? 美羽様、夏候惇は本人も部隊も、単純そうで案外めんどくさいんですよ。明でさえ手こずっていましたし」
「ふむ、それなら仕方無いの。……田豊や」
袁家の将と比較されて理解したのか、もはや興味は無いというように田豊の方に目を向けた袁術。
「何?」
「そ、その……な。そろそろ薄い蜂蜜水では無くちゃんとしたモノを飲みたいのじゃが」
「飲むなら一か月蜂蜜禁止」
「ななな、それはあんまりではないかえ?」
「蜂蜜の業者は七乃じゃなくこっちが大本を抑えてるから、薄いのも飲めなくしてもいいけど?」
「うぅ……めいぷるしろっぷも切れてしもうたし……蜂蜜がないとだめなのじゃぁ……」
こそこそと何か話していたようだが、がっくりと袁術が肩を落とした。
きっとまた下らない事を話していたんだろう。蜂蜜水が飲みたいとかそんなモノを。
軍議中だというのに、というように冥琳がまた
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