悪魔の島編
EP.15 覚悟
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まれたようなものであった。
遺跡崩落の可能性から、急いでいたワタルが戦闘を中断してまで感知に集中したのは、魔導士とそうでない者の魔力に対する耐性の違いがあるからである。
魔法を使うから当然なのだが、魔導士は一般人より魔力の耐性が高い……というより、一般人のそれは皆無に近い。空気中に含まれるエーテルナノ程度なら誤差の範囲だが、耐性の低い者は魔法攻撃をぶつけられれば炎や電撃、氷といったダメージ以外にも、魔法に含まれるエーテルナノが中毒を起こし、本当に最悪の場合は死に至る事がある。
ワタルが魔法を使わなかった理由も、そこにあった。直接魔力を打ち込むワタルの“魂威”は、例え僅かな魔力であっても、魔導士でない者にとっては致命傷になり得るほど危険なものなのだ。
閑話休題
しかし、そこは感知能力に長けたワタル。意識を周辺のみに集中する事によって、数秒で魔導士の魔力の数と位置を特定すると、考える時間も惜しいとばかりにルーシィとエルザに指示を出す。
「(全員を相手するのも面倒だしな……)エルザは2人、右手の剣を持った奴とその奥の杖持ちを。残りの3人は俺がやる」
「ああ、任せろ」
エルザの返答を待つのもそこそこに、ワタルは忍者刀を換装。身体能力を活性化させ、再び集団の中に飛び込んだ。
先程までのような、注目を集めるための大雑把な立ち回りではなく、狙いを定めた肉食獣の如き動きで、ワタルは一番奥の魔導士に接近する。
「フッ!」
「ウグッ!?」
息を短く一気に吐き、対象の後方まで木々の間を縫うように回り込み、後頭部に一撃。獲物に選ばれた哀れな覆面の魔導士は短いうめき声と共に崩れ落ちた。
その音で、ワタルが自分たちの後ろに移動していた事に気付いた襲撃者たちは戦慄した。気絶した魔導士の近くにいた者でさえワタルの接近には気付けず、急に現れたように見えたワタルに向かって襲い掛かった者もいたが、ワタルはそれを無視して鎖鎌に換装して両方の鎌を投擲し、鎖を持ち操作する。
「なっ!?」
「うわ!?」
切り札である仲間の魔導士の1人が呆気なくやられ、動揺も抜けきらない中、残った魔導士2人の腕に鎖が巻き付く。
ついでに魔力による操作で、鎌を鎖の間に差し込むように固定する。
「そらよっ!!」
鎖を引っ張れば、当然2人の魔導士の身体は宙を舞う。ワタルは鎖を魔力で操り、何人か巻き込みながら魔導士達の身体を激突させた。
「(……よし、終わったな。エルザの方は――)……わーお」
魔力の弱体化から2人の気絶を確認したワタルはエルザの方に意識を向けると、ワタルは感心の声を漏らす。
任せた2人の内、杖を持った方は既に切り伏せられ、残る1人も丁度今、切り掛かろうとしたところを逆に懐に潜り
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