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FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
悪魔の島編
EP.15 覚悟
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テメェ一回負けてんじゃねーか!」

 グレイがナツとリオンの間に割って入り、少し呆気にとられたものの、ナツはグレイの言葉に顔を顰めて返す。
 戦っていた獲物をよこせという、ナツの嫌いそうな事だ。グレイには予想通りの反応だった。
 予想通り過ぎて笑みすら出てきそうだ。これが最期かもしれないのに。

「……次はねえからよ。これで最後だ」

 グレイの真剣な表情と声音に黙ったナツ。
 彼が自分の頼みを了承してくれたものと解釈して、グレイはリオンに向き直る。

「大した自信だな」
「……10年前のあの時、ウルが『死んだ』のはオレのせいだ」

 一度完封した弟弟子が何を言い出すのかと呆れ、せせら笑うリオンに対し、グレイはあくまで冷静に言葉を紡ぐ。


 兄弟子の神聖な目標を奪うきっかけを作ってしまった自分の罪を。


「だが、仲間をキズつけ、村を消し……あの氷を、デリオラを解き放とうとするお前だけは許さねえ」


 肉体の消滅と引き換えに、デリオラを封じたウルの弟子としての責任を。


「共に罰を受けるんだ、リオン……!」


 命を懸けてでも、弟弟子として兄弟子を止めるという覚悟を。

「それは……!?」

 手を水平にしてクロスさせた構えはウルの弟子であった二人にとっては因縁深い構え。
 今この瞬間も、氷となったウルが不死の悪魔・デリオラを封じている絶対氷結魔法。

 余裕の表情を凍りつかせたリオンは、焦りの表情を浮かべてその名を口にする。

絶対氷結(アイスドシェル)!?」
「選ぶんだ、リオン。共に死ぬか……生きるかだ!!」

 睨むリオンに臆することなく、自分の命を賭け金(ベット)にしたグレイの覚悟が、凍りついた部屋に木霊した。


    =  =  =


 一方、遺跡の外。
 襲い掛かってきた50人ほどの武装集団に躍りかかったワタルは、当て身や手刀、側頭部への蹴りなどの、魔法武器を使わない体術で敵の数を減らし、攪乱していた。

 だが、感じられる力が数の割に弱い事をすぐに感知し、暴れるのを中断してルーシィ達の元に戻る。

「(やはり上空の膜のせいか……感知がいつもより鈍いな)ひぃ、ふぅ、みぃ……まともな魔導士は5人ってとこか」

 島上空に存在する魔力の膜が、感知をジャミングしていたため気付くのが遅れたワタルはと内心で舌打ちし、エルザに迎撃を任せると、目を閉じ、右手の人差し指と中指だけを立てた。忍者の印のようなその構えはワタルが集中する時の構えだ。
 いつもならこの程度であれば、意識を少し傾けるだけで周りを把握できるワタルだったが、月の雫(ムーンドリップ)によってできた膜に覆われたこの島は、魔力に敏感なワタルには大都市の雑踏音の中に放り込
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