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FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
悪魔の島編
EP.15 覚悟
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とエルザは油断なく集団に目をやる。

「こいつらは……零帝の手下か」
「それ以外だったら驚きだな。……グレイ、お前は先に行け」
「ここは私たちに任せろ。リオンとの決着をつけてこい」
「ああ……!」

 ワタルとエルザの背中を押す声にグレイは頷き、駆け出すが……ワタルはその背中へ、さらに言葉を掛ける。

「戻ったら説教だからな……必ず帰って来いよ」
「! ……ったく、勘弁してほしいぜ。……わかったよ」

 念を押すワタルの言葉に、グレイはピクリと肩を震わせると、肩を竦めながら答えた。……背中を向きながらだが。
 その姿に一抹の不安を感じ取ったワタルはエルザ達と背中合わせに立ち、武装集団に向かって武器を構えた。

「……見たところ素人ばかりのようだが、時間を掛ける訳にもいかないんでね。速攻で決めさせてもらうぞ」

 遺跡の崩壊の危険と先のグレイの態度に対する不安から、ワタルは宣戦布告と共に、エルザと共に武装集団に身を躍らせ、ルーシィとハッピーは迎撃の体勢をとった。


    =  =  =


 大人ぶってすかした奴。

 それがグレイの、ワタルに対する印象だった。

「(もう8年になるのか)」

 グレイはワタルがエルザと共に妖精の尻尾の一員となった時の事を、走りながら思い返す。




 妖精の尻尾に入って初めての後輩魔導士。
 ワタルに関しては魔導士としての経験は彼の方が断然上であったが、それでも初めての後輩、それも年の近い彼らの加入に、当時10歳であったグレイは心躍らせた。気恥しくてそれを口にする事は無かったが。

 エルザの方はすんなり加入が認められた。
 だが、ワタルが自身の姓を口にすると、周りの大人たちだけでなく、いつもは温厚なマスターまでもが顔を顰め、雰囲気を険しくさせたのは今でもはっきりと覚えている。

『ギルドの仲間とは家族であり、身寄りの無いガキどもにとっては家でもある』

 ウルの言葉を信じて妖精の尻尾にたどり着いたグレイがマスターに掛けられた言葉だ。(ウル)を失い、兄弟子(リオン)とも決別して――妖精の尻尾に着くまでの短い間とはいえ――孤独だったグレイにとって、マカロフの温かい言葉や周りの大人たちの歓迎は心に沁みた。

 そんなマスターや大人たちの、明らかに訳有りであろうワタルへの対応はとても友好的な物とは言えず、険悪ですらあった。
 子供ながら、いや、子供だったからこそ、周りのそんな雰囲気を直感的に感じ取ったグレイ。
 それが『何故』なのかを考えなかったのもまた、グレイが幼かった故だったが……当時のグレイにとって、そんな事は重要ではなかった。


 挨拶を終えたワタルに対して、グレイが勝負を挑んだのは、そこが理由だ。



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