悪魔の島編
EP.15 覚悟
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た。
ワタルは目を瞬かせ、グレイの話を聞きながらも自分の変調に気付いた彼女に感心した。それと共に、最も長い時間を共にしてきた相手とはいえ、自分の様子を気取られた事に対して自らを戒めながらも、ワタルは応える。
「(気を抜きすぎたか、それともこいつが成長したのか……)いや、なんでもない。ただのS級クエストで終わって欲しいもんだって思っただけさ」
「あ、オイラ知ってるよ。そういうの、フラグっていうんだよね」
ハッピーに応える者はいなかった。
いや、何もツッコミがすべって場の空気が凍りついてしまった訳では無い。目的地である遺跡を目の前にした彼らが、その非常識な光景に対して絶句していたからだ。
「……遺跡が傾いて……る?」
「どうなってんだ―!?」
我に返ったルーシィが呟き、ハッピーが仰天する。
そう。一行の目的地であり、零帝・リオンの本拠地であり、デリオラの封印が解かれようとしている遺跡が斜めに、傾いていたのだ。
下手人に心当たりがある……むしろ、アイツしか居ねえとばかりに、ワタルは頭を抱えた。
「何してくれてんだアイツは……!?」
「ああ。だが、狙ったのか偶然か……これで月の光はデリオラに当たらねえ」
「そういう事じゃないんだよ、グレイ!」
遺跡を通して地下のデリオラに月の光を当てる。これを阻止するために、この場に居ないナツは自分の力を存分に振るって遺跡を傾かせた。
確かに、あれだけ傾けば光はデリオラには届かないだろう。それだけなら万々歳だ……この遺跡が古い、という事を無視すれば。
古い遺跡は当然ながら脆い。そんな遺跡の柱……あれだけ傾いているという事は、基礎となっている柱を多数破壊したであろうことは想像に難くない。
つまり、あの遺跡はいつ崩れてもおかしくない、という訳だ。
「いつも物ぶっ壊しまくってるから、そういう事に気が回らないんだよ、あの馬鹿は……!」
「ちょ……じゃあ、どうするのよ!?」
「地下なら崩れても多少は安全だろうが……チッ」
崩壊の危険の説明を聞いて慌てるルーシィ。彼女に対してワタルは口を開いたのだが、周りを取り囲むような気配を察知した。苛立ちから舌打ちが漏れたのと、周りの茂みが音を立てたのはほぼ同時だった。
「誰かいるな……」
「ああ。ったく、この忙しい時に……」
ガサガサと、歯が擦れ合う音と共に、現れたのは……
「見つけたぞ、妖精の尻尾!」
「うわっ!?」
「変なのがいっぱいだ!」
剣や斧で武装した、目の部分だけ空いた覆面とローブの怪しさ満点の集団。その風貌の異様さと、現れた数が多さからか、ルーシィとハッピーがたじろぐ。
そんな彼らをよそに、ワタル
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