暁 〜小説投稿サイト〜
ガールズ&パンツァー 舞台袖
顔寄せ
[4/5]

[1] [9] 最後 最初
すか?」
本郷が答える。
「そこまでの重武装は考えていない。ああ、それと言い忘れていた事が一つ、戦況確認用にタブレット端末が貸し出される。ホハと側車に載せると思う。」
皆、少々驚いた顔をする。
「今年は随分と豪華ですね。」
とそれまでホワイトボードに日程や編成内容を板書していた二年生の鹿内が皆の内心を代弁する。
「まあ、日戦連も去年の二の舞いはしたくないんだろう。今年は安全管理にかなり力を入れているそうだ。」
とそれまで打ち合わせを見守っていた顧問の賀谷が口を挟む。皆、去年の決勝戦を思い出しああ、といった顔になる。
 昨年、決勝戦では悪天候により運営本部が試合の一時休止を検討し始めた頃、黒森峰高戦車が川へ転落する事故が発生した。フラッグ車戦車長が乗員救助に向かい、その隙にプラウダ高がフラッグ車を撃破、優勝を決めた事は周知の事実であった。
 これについて運営本部では有効かどうかで審議が相当揉めた。結局、有効判定が下りたが運営本部の管理体制が問われる事となった。
 余談ではあるが当時、黒森峰高の直接支援を担当していた雷電学園高校空挺部は運営本部の制止を無視して突出、救助を支援した。大会終了後の事情聴取では無線機の故障であったと主張、事実車両に搭載していた無線機が全て故障していた。
 この出来事に対し対戦車道を行っている男子達は西住みほ嬢の勇気に惜しみない賞賛を贈り、(独断専行は悪い事だと認識しつつも)雷電高校の連中に惜しみないやっかみを贈ったのだった。
 西住みほ嬢の一連の行動は優勝を前にしての試合放棄ではないか、との声も一部から上がっていたが、陸戦競技を嗜む人間からしてみればそれは的外れな意見であった。
安全に配慮がなされ、死者が出ることは無いにしろ、戦車道に比べれば遥かに危険な競技である対戦車道や陸戦道では審判員の権限も大きく、各部部長の権限も大きい。各個人がいかに判断し、決断するかを求められる競技である。だからといって、命令を無視しても良いという訳では無い。審判による追認が認められなければ退場もありうるのである。権限と責任は表裏一体である事を学ぶのである。
危険と判断すれば試合の一時中断を申し出るし、怪我をしている試合相手を見つけたら必要とあれば手を貸す。といった気風が陸戦競技にはあった。
 つまりは、死者が出るかもしれない状況において試合続行なんて言っていられるか。という意見が陸戦競技関係者の本音であった。
本郷が最後に発言し場を締める。
「他に質問が無ければこれで終わりとし部活動に移りたいと思う。わかっていると思うが決勝戦当日はおめかしして来る事。それと藍蒼館高校挺進部部員として恥ずかしくない行動を心がける様に。」
 全員、わかってますよといった顔で頷いた。そう、何といっても対戦車道は紳士の競技なのだ。
 
 

[1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ