EPISODE21 笑顔
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食べたくなったのでとりあえず公園に来てみるも案の定この時間帯だ、移動ワゴンももうない。だよなぁとため息をついてまた明日来ることを固く誓うとどこからか泣き声が聞こえてきてあたりを見回す。だいたいの位置を絞るとそこへと向けて足を運ぶ。見えたのは幼い二人の子供。男の子はまだ小学生、女の子は男の子よりもまだ下に見える。そして泣く二人を見てどうしていいかわからずにあたふたする銀髪の少女が一人。
「あの、どうかした?」
「え・・・・・って、おまえ!」
遭遇したのは迷子で、宥めていたのはあのネフシュタンの少女で名前は雪音クリスという女の子だった。迷子になっていたこの兄妹を発見したクリスは関わりたくないとスルーしようとするも泣きわめく女の子に耐え切れずに関わってしまった。事情を訊くと父親と逸れてしまい迷子になってしまったとのこと。なだめようとするクリスと男の子だったがやがて男の子ももらい泣き。どうしていいかわからずにいるところに雄樹が通りかかったという経緯だ。
それを見て何かないかと探った結果取り出したのはお手玉。なんでそんなものがポッケのなかから出てくるんだと軽く不審に思う。
「よっほ、はっと」
ぽいぽいとジャグリングする雄樹。それを見た兄妹はやがて泣き止み、「おお〜」と拍手する。よく見るとクリスもやっており目が合うと顔を紅くしてサッと目を逸らした。それから兄妹の父親をさがすこととなり、クリスと共に公園を歩く。薄暗くなる公園内をぐるりと一周するかというところで、待望の父親と対面。兄妹を無事引き渡した後、クリスと公園をフラフラと歩く。その際、二人に会話はなかった。というのも、先ほどまではあの兄妹が雄樹と会話して盛り上がっていたくらいで実質クリスは相槌を打つていどで会話には参加していない。
なのでその要因がいなくなったことですっかり静かになってしまった。雄樹も雄樹で彼女からの言葉を待っているため会話はなおさらない。
しかし、しばらくしてクリスがようやく口を開いた。
「・・・・アタシさ、追い出されたんだ」
「どこから?」
「フィーネのとこから。失敗続きな使えない子はいらないって」
フィーネ・・・・それが彼女の上司か。そう探りを少し入れたところで雄樹は思考を切り替える。これ以上はしたくない、と思ったからだ。
「酷い上司だね」
「・・・・でも、アタシにとっては全てなんだ」
その言葉がどんなことを意味しているのかは分からない。だが、それに込められた重さはなんとなく伝わってきた。
「・・・・だったら戻ればいいんじゃない?」
「おまえ、アタシのこと捕まえなくていいのか?」
「俺、別にそんなことしたくてお話したいって言ったわけじゃないから。ただ
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