EPISODE21 笑顔
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」
「俺人付き合い考えようかな」
だが聞いてもらうのだからお礼はしなくてはならない。雄樹はクレープを買って未来に手渡すと淡々と語り始めた。もちろんシンフォギアだの聖遺物だのは別のものに変えてだが。
「そんなことが・・・・だから響、昨日は遅かったんですね。寮長さん丸め込むのに大変だったんですよ?」
「丸め込むって部分が非常にきになるんだけど」
「気にしたら負けですよ」
でも、ホントに苦労しましたと未来が少々ふくれっ面になる。それを見て苦笑しんがらごめんと言うと別にいいですとクレープを頬張る姿はどこか響に似てきたなと少しだけ微笑ましくなりつつ視線を空へと投げる。
「・・・・父さんだったら」
「え?」
「父さんだったら、こんな時どうするのかなって」
今はいない父の姿を思い浮かべながら空を見上げる。どこまでも透き通った曇りない青空の向こうに逝ってしまった存在に想いを馳せながらつぶやかれた雄樹の言葉に反応したのは父ではなく隣でかわいらしく小さな口でクレープを頬張る幼馴染だった。
「雄介さんがどうとかじゃなくって、雄樹さんはどうしたいんですか?」
「え?」
「なんていうか、響も雄樹さんもらしくないです。二人して“本当は何に悩んでいるのか”は訊きませんけど、二人がくよくよしてるとこっちまで曇ってきます」
クレープを平らげてスッと立ち上がり雄樹の前に仁王立ちする。そしてビシッと効果音でもつくくらいに此方を指差して、
「二人にそんな姿は似合いません。いつもニコニコ笑って、他の人も笑顔にする・・・・それが二人の魅力だって思います。そんな人がくよくよしてたらこっちも沈んできちゃいます。だから、笑ってください。私にはこれくらいしかできませんけど、でもこれくらいなら、なんとかできますから」
笑顔でサムズアップ。その姿にしばし見入ったあと何かを見出したように明るくなり立ち上がる。
「わかったよ!やっぱり未来ちゃんは頼りになる!」
「これでも二人の保護者してませんから」
エッヘンと胸を張る未来にうんうんと頷く雄樹に期待した返しがなかったことと、自分の言葉と行動に恥ずかしくなって笑う。やっぱり見様見真似でこの人とマネはするもんじゃないなぁと軽く後悔するも、いつの間にどこかかぎこちなかった笑顔も自然と――――いや、もっと笑えるようになっていたことに気づく。
やっぱり敵わないや・・・・。
と、そこで携帯のバイブレーションが鳴ってところで雄樹は少し席を外す。戻ってきた雄樹の顔が少し真剣なものになっていることに「ああ、またいつものか」と納得する。
「また“お仕事”ですか?」
「え、あうん。ちょっとね」
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