EPISODE19 暴走
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なにかが崩れていくのが恐いんだ。クリスは動くこともできずただ雄樹をじっと見る。
「・・・・どうして、どうしてそこまで自信満々に言えるだよ?」
『自信なんてないよ。ただ信じてるだけ、できるようにって。だから俺は俺にできる無茶をしてるだけさ。そのせいで、最近は怒られることもあるけどね』
「バカだよ…おまえバカだよ」
『うん。よく言われる。でも、賢いっていうのが困ってる誰かを見捨てたりすることだっていうんなら、俺は一生バカのままがいいかな。だって、それだけ人を信じられたってことだもん』
何を言っても言いかえされる。何をやっても通じない、まるで届かない。いつしか恐怖は別のものに変わりかけていた。
でも・・・・・それでも。譲れないものもある。
「ユウ兄!」
聞こえてきた声にクリスはとっさにバックステップでさがる。
「ユウ兄、大丈夫!?」
『うん、でも響ちゃん、あの子――――』
と、言いかけて雄樹は放たれたミサイルに気が付き、今度は紫から青に変わって響を抱え飛び退く。
「どいつもこいつも、ッるせーんだよォ!」
まるで暴れ馬。感情に任せて撃ちまくるクリスの攻撃はみずから生み出したであろうノイズにまで及ぶ。そして、それはトレーラーへも。外壁を吹き飛ばし、中からデュランダルが放り出される。それを見たクリスがチャンスとばかりに取りに向かうが――――
「させるか!」
行く手を援護に来た翼に阻まれる。毒づくクリスにニヤリと笑い、そして響がデュランダルを回収する。
完全聖遺物デュランダル。アマダムやネフシュタンと同じ物。これを使えば、いっきに逆転できるし、ユウ兄を守れる!
その一心で響はデュランダルにエネルギーを込めた。
しかし、そこでアマダムが雄樹に警報を示す。“アレを起動させるな”、と。しかしそれが理解できるようになるまでの間に事は進み、響はデュランダルを起動させてしまう。そこから放たれる不吉な波動。さながら空気に波打つかのように広がるそれは不快指数を高め、得体のしれない不快感を心に刻む。
苦しむように唸る響。なにが起こるのか見守る翼とクリス。直後―――――それは起こった。剣を掴んだ腕から黒い影のようなものが広がり、やがて響を包む。
声にならない声が、雄叫びをあげた。
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