EPISODE18 聖剣
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握っていたことに気が付く。そのことに一瞬困惑するも響は雄樹を見上げて言う。何よりも強い意志を込めて。
「ユウ兄…私、もっと強くなる。ユウ兄のこと守れるくらい、ユウ兄が安心してまた冒険に行けるくらい、もっとずっと!」
目じりに涙が浮かんでいるのを見て雄樹は一瞬、ほんの一瞬だけ切なそうな顔をした後すぐに笑顔を浮かべて涙を拭ったあと「ありがとう」と一言。その笑顔が、とても儚く見えた気がして響は少し切なくなった。
♪
〜PM 18:00 都内某所〜
すっかり陽も落ち、車通りの少なくなったハイウェイを二台のトレーラーと黒づくめの車が数台、その後ろからバイクが一台。デュランダルを積んだトレーラーが一台とダミー、つまりは囮のトレーラーが一台と、それぞれ翼が乗るトレーラー、そして了子が運転するトレーラーには響が乗りその後ろを雄樹がビートチェイサーにて護衛する。
ここまでは・・・・順調。ノイズによる襲撃もネフシュタンによる工作もない。順調、順調なのだが・・・・
「・・・・おかしいわね」
了子がハンドルを操作しながらつぶやく。
「これほど大掛かりに誘っているにも関わらずなんにもないなんて…デュランダルはどうでもいいというの?」
二手に分かれての陽動。しかもこれだけわかりやすくやっているにも関わらずなんのアクションもないところを見ると敵はデュランダルを見逃したと考えてしまう。あれだけの規模でネフシュタンを盗りに来た時のことを考えるとこれは少しおかしい。なにもないことにこしたことはないが、この不穏な空気はなんだ・・・・?
「・・・・、了子さん!」
雄樹が通信回線を繋げて叫ぶ。視線の先には――――ノイズの大群が。
「まさか、気づかれてた!?」
なるほど。あちらがダミーと扱うのであれば必然的にこちらが戦力を削ぐ必要がある。いかにも向こうが本物を積んでいるように見せかける為に振り分けたのが仇となったか。それに今は橋の上。ここで停車して戦うのも一つだがそれだと挟み撃ちにあう可能性もある。了子が選択したのは、正面突破。つまりこの大群を突っ切ること。アクセルを踏み込んでスピードを上げるとノイズを轢きながら突き進んでいく光景を雄樹は後ろから見ていた。
この人、見かけによらずこういうところはもの凄い。
「って、かんしんしてる場合じゃない!」
雄樹もアクセルを蒸してトレーラーに着ける。すると――――
「よォ!」
聞こえた声に雄樹はトレーラーの上を見るそこにはあのネフシュタンが。
「きみは・・・・!」
「おまえのせいでこっちも色々とあるんでな・・・・悪いが今日で決着つけさせてもらうぜ!?」
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