EPISODE15 射手
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〜PM 18:00 私立リディアン音楽院 小日向・立花寮室〜
――――遅いなぁ・・・・。
テーブルにダレながらそんなことをため息と一緒に呟いてみる。時刻はもう夕方の18時。この季節だと陽の落ちる時間も早い為外は太陽の代わりに月と星が夜空を彩っている。同室の親友は依然帰ってこない、それどころか外は警報が鳴っていて探しに行くこともできない。学校は安全のために封鎖されそもそも外に出ることもできないのだが、響は外出中の為入って来れない可能性もある。極め付けは連絡がつかないこと。どこかのシェルターに避難しているのであればいいが、それも期待していいのかどうかも危うい。
携帯を開いて最後に交わしたメールの内容を開く。
――――ユウ兄と一緒に買い出しなう!どうだ羨ましいだろ〜(^^♪
解せない。なにがって、それはまるであの人を自分が独占しているかのような感じが解せないのだ。別に羨ましいとかっていう感情は一切ないが、なぜかこう言われると対抗心が沸々とわいてくる。嫉妬――――と言うにはあまりにも曖昧だ。憧れのお兄さんを独り占め、そんなことがこの感情を引き出しているのだろうか。それともその矛先が逆なのか。
まあ、なにはともあれ。
「・・・・雄樹さんと一緒なら心配ない、か」
未来が響のことをあまり心配していない理由はここにある。
だって、約束したから。
あの時つないだ小指を見てみる。なんだかちょっと照れくさくって自然と笑いがこぼれるのは絶対に見られたくない。見られたら最後、絶対ネタにされるからだ。
でも――――
「・・・・大丈夫。だって、雄樹さんクウガだもん・・・・」
なんの根拠のない言葉がこんなにも安心する。意味は分からなくても、あの人がきっとどこかで頑張ってくれてるからだ。だったら自分も頑張らないといけない。今は・・・・そうだ、この眠気と戦ってみよう。今日はいろいろと出かけて疲れた。きっと帰ってきた響もクタクタに疲れているに違いない。もし起きていられたら、「おかえり」って言って。そしたら響が「ただいま」って言うんだ。なんでもない私達の日常。響がたくさん頑張って、お腹を空かせて疲れたらここに帰ってくる。
そんな帰る場所を守る為に、自分も頑張ろう。とりあえず今はこの睡魔と闘うことに専念する未来であった。
♪
〜同時刻 某所〜
ライトで照らされる区画一帯に敷かれた立ち入り禁止のテープと警備員の数は過去最大のものかもしれない。今回の作戦がそれほど大がかりで命がけであることを示している。
「現在、合成ノイズ、通称“キメラ”はこの位置で滞空中。銃もミサイルもやっぱり効果なし。そこで政府はもう一度俺達に現場対
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