EPISODE15 射手
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時を!!」
「イッケー!翼さん!」
響きの声に答えるかのように翼は手にした大刀を振るう。縦に放たれた斬撃はまっすぐぶれることなくキメラめがけて放たれ宙に青い軌跡を刻み込む。キメラから放たれた光もまた暗闇を貫いてまっすぐ放たれ蒼ノ一閃とぶつかる。直後、それはあっけなく四散した。エネルギーの充填は万全だった。太刀筋も狂いはない。
だが、目の前の結果がそれを示している。完璧だっただけに誰もが驚愕し、唖然と戦慄する。
――――作戦は、失敗に終わった。
すぐさまチャージに入るキメラを緒川他響を含めた援護スタッフが迎撃する。第二射の妨害には成功するもののキメラが猛威を振るいだしたことに変わりはない。眼前の事実にほうける翼の耳に、響の悲鳴にも似た声があがる。それにハッとなって顔をあげた時には既に回避不可能な距離まで針が迫っていた。
殺られる・・・・!
死を覚悟した翼。そこへ――――緑色の影が過る。心臓を射抜くはずだったその一射が緑色の影により妨害され、事なきを得た。
いったいなにが起こったのか。事態の収拾に努める翼はその主をみる。クワガタのような角。腰のベルト、そして緑色の身体と複眼。姿に多少の変化はあれど見間違えるはずもないその姿。
「ユウ兄!」
『おまたせ!』
クウガ――――雄樹だった。
「雄樹・・・・さん・・・・?」
『うん。なんとか間に合ってよかった…怪我、ない?」
「・・・・・、はい!」
気が抜けたのか、フラッとしたことを気づかれぬよう足を踏ん張って答える。
『状況がアマダムが教えてくれたから大体わかるよ。翼ちゃん、まだいける・・・・?』
「もちろんです!」
『よし。緒川さん、ソレ貸してください!』
緒川の持っている銃を指差しそれを受け取る。構えるとそれがボウガンのような形状に変化し、翼と顔を見合わせて頷き、別れる。
一点からの攻撃では、きっとまた防がれてしまう。ならば、二方向からの同時攻撃からならどうだろうか。
素早い動きで横を通り過ぎ、ポジションを取る翼と構える雄樹。わざと射程圏に入ることでこちらに気をひきつけることで翼の進路を確保した雄樹に、またあの針が襲う。が、それは直撃することなくあっさりと、まるで“見えていた”かのように二本の指できっちりキャッチされた。
『翼ちゃん!』
雄樹の声で翼が蒼ノ一閃を振るう。今度は相殺されることなくキメラに当たり、ステルス機能を停止させて羽を薙ぐ。しかし、それでもキメラが落ちることはない。そこへ雄樹がボウガンを発射。封印エネルギーを纏った一射は残った片翼を貫いて四散し、キメラが地面へと落下する。
『響ちゃん、翼ちゃんをお願い!』
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