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万華鏡
第七十八話 バレンタインデーその十

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「だからね」
「私が恋愛をしても」
「誰も止めないわ、言う人はいてもね」
「茶化す人は、ですね」
「下らない人だから」
 それ故に、というのだ。
「無視していいのよ」
「茶化す人は」
「子供かやっかんでいるだけだから」
「どっちにしても大した理由はないんですね」
「愛は地球を救うとは言わないけれど」
 時折出て来る言葉だ、美辞麗句と言えばそれまでだが残っているからにはその通りだという一面があることも確かであろう。
「楽しいわよ、ただ」
「ただ?」
「浮気はね」
 副部長は普段の真面目な口調で言った。
「駄目よ」
「それは、ですか」
「それこそ刺されるから」
 そうなるからだというのだ。
「鉈で首切られるわよ」
「お腹とかもですよね」
「中に誰もいませんよ・・・・・・って」
 副部長も気付いた、そのことに。
「貴女もあのアニメのこと知ってるのね」
「スクール何とかですよね」
「兄がゲームもしてるのよ、十八禁ではないけれど」
「あのアニメ原作十八歳禁止のゲームですよね」
「ええ、そうよ」
 そうしたジャンルのゲームもアニメ化される時代になっている、ただしそうした場面はカットされて性的にもマイルドな作品になっている。
「兄もそちらはしていないわ」
「普通になった方をですか」
「していてね」
「原作のゲームの方では、ですか」
「鉈で首を切られるから」
 エンディングの一つで、である。
「浮気は怖いわよ」
「それは極端なケースですよね」
「確かに極端だけれど」
 それでもだというのだ。
「刃傷沙汰は有り得るわ」
「高校生の間でも」
「ええ、有り得るわ」
 刃物は学生でも持てる、そうしたことになる可能性はゼロではないのだ。
「実際にね」
「そうですか」
「そう、だからよ」
「浮気はですね」
「駄目よ」
 してはならないというのだ。
「大変なことになるから」
「そうなんですね」
「そう、わかったわね」
「わかりました、浮気は」
「禁物よ」
 あくまでその相手に一途になるべきだというのだ。
「そこは気をつけてね」
「わかりました」
「とにかく。バレンタインはね」
「学校では、ですね」
「終わったわ」
 副部長にしてもというのだ。
「これでね」
「そうですね、チョコ全部配ったし」
「これで二月のイベントがまた一つ終わったわね」
「後は、ですね」
「次はマラソンよ」
 これがあるというのだ。
「マラソン大会が」
「今度はこれですね」
「うちは軽音楽部だけれど」 
 それでもだというのだ。
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