EPISODE9 片翼
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翼はまず驚愕、直後にその感情が怒りへと変わっていく。
「・・・・いい加減にしてもらおうか。これ以上侮辱するのであればただでは――――」
「私、ずっと考えてたんです。翼さんのギアには、かっこいい剣がある。それは翼さんの覚悟の表れで、それを貫くために必要なもので。でも、私には・・・・やっぱりわからないです。自分のギアの、アームドギア」
響が構えろと言われ、構えることをしなかった理由の一つ。自分にはアームドギアはない。なんなのかわからないまま考えて、考えぬいた結果、その答えがでてくることはなかった。最初は落ち込んだものの、その後に言われた一言で気づいた。自分のアームドギアが浮かばなかった訳と、その意味。それは、ちゃんと“最初からでていた”。
「たっくさん考えて、考えて…考えるのやめました。私難しいことはやっぱりわかんないみたいです」
苦笑いを浮かべる響。その顔はどこか清々しい、吹っ切ったような印象さえ感じさせる。そんな彼女の姿に弦十郎は一人の男の面影を重ねた。
「だから、私の答えは・・・・」
そこでいったん言葉を切り、肺いっぱいに空気を吸い込む。そして――――
「ごめんなさい!!!!!!」
謝った。それはもう、見事なまでの頭の下げ具合。キッチリ90°をキープしている。これにはさすがの二人もあっけにとられた。
「奏さんの代わりなんているはずない。それなのに、私ってばなんにも考えないで言っちゃって…。でも!私も頑張りたいんです。この身体にある力、その意味・・・・まだまだわからないことだらけで、これから先もたくさん迷惑かけちゃうかもしれないですけど!でも、この手に掴んだものだけは――――繋いだ手と手だけは離したくないんです!戸惑ったり、躓いたり、それでも絶対に!」
わけがわからない。それが素直な感想だが・・・・その言葉に乗せられた想いは、しっかりと伝わってくる。頭をあげ、そこにある瞳と対峙する。鋭い光に宿った確かな意志はまさに“覚悟”を決めた者の姿だった。そして、その姿に・・・・五代雄樹が重なった。
「私の手は、翼さんの背負ってるものを持つにはあまりにも小さすぎるし、弱すぎる。でも、その重さも辛さも、一緒に繋いで、一緒に感じることはできる!――――私のアームドギアは、なにも持たないからこそ誰かとこの手を繋ぐことができる。一緒に分かち合っていける。それが私のアームドギア。これが私の、覚悟です!」
力強い言葉と、笑顔と――――サムズアップ。これが、憧れの存在になりたかった少女の曲がりに曲がってたどり着いた答え。間違っているかもしれない。また否定されるかもしれない。でも、そんなことはどうでもいい。これが私の想い。もう“代わり”じゃなくて、“一緒に並んで
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