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戦姫絶唱シンフォギア/K
EPISODE6 疾走
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うものは・・・・。

 翼の雰囲気が変わったことにいち早く気づいたのは雄樹だった。彼女が変わったのは間違いなく響の一言。あの言葉は彼女にとっておそらく一番のNGワード。今の翼なら何かしらあってもおかしくない。


「・・・・そうね。一緒に戦いましょう」


翼の言葉に響が笑顔になる。

だが、それは彼女が望んだものではなかった。


「私とあなた。一緒に戦いましょう。今、この場で」


切っ先を突き付ける翼。描いていた最悪の事態になってしまったことに雄樹は内心で舌打ちをする。翼が、剣ほ振るう。その太刀筋の迷いはない。完全に響を・・・・倒す気せ感じる。自分が飛び出したと気づいたのは、そんな翼の剣を眼前に捉えた時だった。

 美しく弧を描いた剣が雄樹に振り下ろされる。響を捉えるはずだったその剣は割って入った雄樹を切り裂き、火花を散らした。


「ユウ兄ィ!」


膝をついてなんとか堪える雄樹。翼はそれを見てただ立ち尽くす。雄樹は心配そうに覗き込む響に大丈夫とサムズアップで返し、翼を見上げる。


『…翼ちゃんの気持ちはよくわかる。でも、きみのその剣は人を傷つける為にあるものじゃないはずだよ。それに・・・・そんな顔でいたら、きみ自身もただ哀しいだけだよ』

「・・・・綺麗事だ。防人である私は無情の一振り。涙だの笑顔だの、私には必要ありません。…あなたの言うみんなの笑顔も、それはただの綺麗ごとにすぎない。現実はそんなに優しくも、温かくもないんです」


突き放すような翼の言葉。どうしてそこまでするのかと問いただそうとした響だが、次の雄樹の言葉に黙る。



『…そうだよ。だからこそ現実にしたいじゃない。本当は綺麗事が一番いいんだもの。…暴力(コレ)でしかやり取りできないのなんて、悲しすぎるから』


雄樹の言葉が、胸に突き刺さる。翼は唇をかみしめ、踵を返す。

それからは、誰も言葉を発することはなかった・・・・。
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