EPISODE6 疾走
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たり感情を表に出したり、以前の翼さんには見られませんでしたから」
ハッとして振り返ると緒川が雄樹と同じようにサムズアップで笑顔を浮かべているのに気づく。
「…言いたいこと、思っていることは言わなきゃずっと伝わらない。だから言葉ってあるんだと思う。ただ喋るだけじゃなくて、そこに想いを乗せて伝えるから言葉ってすごいんだ。たまに傷つけたりしちゃう時もあるけど、拳で解決するよりは、ずっといい。・・・・って、雄樹さんが言ってました。だから僕も思ってるだけじゃなくて、これからは言うことにしたんです」
どうですか?と笑う緒川の笑顔は子供のような無邪気さがあって。それを向けられている自分がなんだか恥ずかしくて姿勢を直す。
「・・・・綺麗ごとです。私達は防人で、相手はノイズです。言葉を持たない脅威を振り払うには戦うしかない。そのために私は歌うんです」
「・・・・そうですか」
その一言はどこか諦めに似たものが含まれているような気さえした。時計を見ればもうすぐ定刻、翼は椅子かあ立ち上がり楽屋をでる。
「・・・・でも」
「?」
「・・・・僕は信じてます。またあの時のような歌が聴けること」
出て行き際にかけた言葉がはたして伝わったかはわからない。それでも、緒川は想いを言の葉に乗せる。きっとそれが、彼女の本当の歌に届くと信じて。
♪
〜PM 15:30 街道 移動中〜
「いや〜こんなに遊んだの久しぶりだぁ」
「俺も。ここんとこ忙しかったし、響ちゃんとなにかするのもずいぶん久しぶりだったしね」
ビートチェイサーで街中を走りながらそんな会話をする。思い出話やこれまでのことを互いに話し合いながら花を咲かせていると急にヘルメット内に備わっている通信機に呼び出し音が鳴った。何だろうと備わっているモニタを操作して通信に応える。
《楽しんでいるところ悪いが緊急事態だ。地下にノイズが現れた。二人だけになるが、頼めるか?》
弦十郎の問いに力強い返事で返す。出現ポイントの詳細をビートチェイサーに送られてきたのを確認すると雄樹は車体を急旋回させ、緊急車両扱いになるよう前部カウルからサイレンを出して鳴らす。けたましい音と赤い光が周囲に緊急事態がおこったことを知らせ、若干込み合っていた車道をさながらモーゼのように空けていく。信号が赤だが今は緊急車両、お構いなしにアクセルを蒸す。
「飛ばすよ。響ちゃん、ギアの展開できる?」
「もちろん!」
響が後ろで歌うのを聞いて雄樹もクウガへと変身する。この状態なら、最高速度でむかうこともできる!
アクセルを蒸し、さらにスピードを上げる。もうじき夕暮れだ
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