EPISODE6 疾走
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〜同時刻 テレビ局内 楽屋〜
――――みんなに笑顔で、いてほしいんだ!だから見てて。俺の、変身!!
あれが彼の決意。彼の想い。防人として、戦士として戦場に立つ覚悟を決めた者の目と心は確かにそこにあった。
わかる。あの人がどれだけ悩んであの答えをだしたか。伊達に長い付き合いをしているわけではない。悩んで、悩んで、悩み抜いての一年越しの答えだってことくらい。それがどんなに苦渋のものだったかも。
しかし、それを善しとしない自分がいる。自らを一振りの剣とし、目の前の災悪を振り払う者となることを誓った自分に笑顔や涙などいらない。剣はただ剣であればいい。そこに感傷などいらない。あの日、自分の失態で招いた結果は変えられずともそれを背負って歩いていくことはできる。無様に生き恥を晒しながらも、たとえ片翼になろうとも飛んでみせると決めた。
なのに、彼の笑顔を見ているとそれが揺らぐ。根底から否定されるような、見透かされているような、得体のしれない不快感――――いや、一種の恐怖とも言うべきか。とにかく、今まで出会ったなかでもっとも苦手な人種だ。
そして、立花 響。奏のシンフォギアであったガングニールの新たな奏者として現れた彼女もまた同じ。覚悟のない子供が戦場に立つべきじゃない。ただ“頑張る”だけならだれにでもできる。しかしそれに命がかかわってくるなら話は別だ。軽い気持ちできめてもらっては困る。
「・・・・ハァ」
考えることを一旦放棄してため息をつく。相変わらず悩みの種は増える一方だ。
「どうしたんですか?ため息なんてついて」
なんだかうれしそうな顔でマネージャーの緒川が言う。それに多少イラっとして言葉のみを向ける。
「ただの精神統一です。ため息ではありません」
「そうやって否定するあたりそうでしたって言ってるようなものですよ」
「・・・・」
「・・・・気になりますか?二人のこと」
考えを当てられたことに内心ドキッとしてすぐに表情を改める。こうもあっさりと言い当てられるということは表にだしていたか?
「気にしてなどいません。というか、今日はやけに楽しそうですね。私を弄ってそんなに楽しいですか?」
あからさまに不機嫌ですと対応する翼。それに苦笑しながら緒川は否定する。
「違いますよ。…ただ、昨日の一件以来なんだか少し変わったかな、と」
「変わった?私がですか?」
「はい。奏さんが殉職して以来のあなたは正直見ていられないほどに酷かったです。ですが、昨日から少しではありますけど変わった気がします。少なくとも・・・・僕はいい方にむいているかと」
「・・・・バカバカしい」
「そうやって悪態つい
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