EPISODE5 日常
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〜AM9:00 私立リディアン音楽院地下 認定特異災害対策機動二課本部〜
「おはようございます!」
ドアがスライドして司令室に元気な明るい声が響く。昨夜の疲れは微塵も感じさせないその笑顔に多少呆れつつ風鳴弦十郎は挨拶を返す。
「おはよう雄樹君。身体の方は大丈夫なのか?」
「はい。今朝も了子さんにチェックしてもらいましたけど健康体そのものだって言ってました」
白から赤へ。雄樹が初めてアマダムから受けたビジョンのなかにいたクウガは昨夜のような赤い姿をしていたという。今まで赤になれなかったのは「戦士として戦う覚悟が不十分だったから」らしいが実際のところどうだったかは本人にしかわからない。争い事とは無縁だった彼の口から「覚悟」なんて言葉が飛び出したことには十分驚いたものだ。
「そういえば響ちゃんへの説明とかはどうなったんですか?俺あのあとすぐに了子さんのとこ行っちゃったんでわからないんですけど・・・・」
「そのことなら問題ない」
と、話していればまたドアが開いて雄樹よりも元気な声が聞こえてくる。制服ではなく私服で来たあたり今日は学校は休みなんだろう。
「あ、おはようユウ兄」
「おはよう響ちゃん。身体、大丈夫?」
「へーきへーき。まだよくわかんないけど、私ノイズと戦えるみたいでさ。てかそう言うユウ兄こそどうなの?なんか了子さんの話だといろいろわからないこと多すぎて・・・・」
専門用語のオンパレード、尚且つギアとの融合という特異ケースの響だ。これに興味を持たない櫻井了子ではない。熱弁した挙句最後には「くまなく調べさせてほしい」と鼻息荒くして迫ってくる彼女の姿が目に浮かぶ。自分の時もそうだっただけにかなり大変だっただろうと苦笑する。あの歳で男っ気ないのはたぶんそれも原因の一つなんじゃないかなと思いつつ、
「大丈夫。俺もさっぱりわからないから」
「そっか。なら大丈夫だね!」
ガン!という音が複数鳴り響く。なんでそうなるんだという視線を受ける二人だがそんなことまったく気にしていないようで笑顔でサムズアップのあと「がははは」と笑いあう姿をみて誰もが思う。
ああ、こいつらどうしようもないバカなんだと。
あの説明がなくても多分わからないな、似た者同士だしと割り切りオペレーター陣は自分の仕事に戻る。一人のこされた弦十郎は苦笑いしつつ今日ここに呼んだことの説明に入る。
ふたりが理解しやすいよう、言葉に最善の注意を払いながら。
「響君にはここに出入りする為のパスの発行手続きだ。一応国のお抱え機関だからそういうところはキチンとしておかなければならなくてね。で、雄樹君にはちょっ見てもらいたいものがあるんだ。藤尭君、頼むよ」
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