EPISODE3 変身
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るのかを必死に考えながらあてもなくただ走る。
走って、走って、走って、走って。体力には自信のある響でも特別な訓練なんて受けていない彼女が全力疾走を継続できる時間もわずかであり、息が切れ、やがて足も止まる。どこまで来たかなんて考えていない、今はただあの恐怖から逃げることしかできないのだから。
後方の気配が無くなったのを確認し、ホッと息をつく。自分を心配する少女に微笑みかけてサムズアップで「大丈夫」と笑う。こんな時、こうするであろう青年のことを浮かべて必死に自身を恐怖から遠ざけながら。ここまでくれば大丈夫だろうと少し息を整えると、わずかに震える脚を抑えて立ち上がる。
さて、帰りはどうしようか。同室の親友に心配をかけてしまった、そんなことを考える余裕が出てきたことに安堵した響に・・・・悲鳴が木霊する。
振り向けば、迫りくるノイズ。逃げようとするも、周囲を囲まれて動けない。じわり、じわりとまるで殺すのを楽しむかのような動きに毒づきながらそれでも響はこの子だけはと思考を巡らせる。たとえ自分一人が無理でも、この少女だけは助けたい。
でも、なにも浮かんでこない。諦めるかとしかできないのか・・・・・そうよぎった響の脳裏に、声が響く。
――――生きることを諦めるな
あの時、意識が薄れていく中で聞いた声が胸を高鳴らせる。そして・・・・・少女は歌う。あの時聴いた、戦いの歌を。
♪
バイクを走らせ、爆発の原因を探りに行った雄樹は今ノイズに追われている。やっぱりこいつらの仕業かと二課に連絡を入れるためバイクに備わっていた通信端末を操作してSOSのサインを飛ばす。あとはこれを感知して翼が来るまで生き延びればいい。
だが。
「・・・・!この歌・・・・」
突如感じた“音”に雄樹はバイクを操作して感の赴くままハンドルとアクセルを操作する。工場内を通り、やがて開けた場所に出る。そこにはノイズの大群を相手に逃げ回る幼馴染の姿が。でも・・・・
「響ちゃん!」
ウィリー走行でノイズを脅かして道を開け、輪の中に飛び込む。背後から迫っていたノイズに走らせたままのバイクから飛び降りて当て、爆発させる。とっさのことで転んでしまうが、なんとかノイズをけん制することには成功した。
「ユウ兄!ちょ、大丈夫?!」
「俺は大丈夫。それより、その姿は――――」
言いかけて、ノイズの攻撃から身を転がして躱す。その時、ヘルメットに備わっていた通信機から翼の声が響いた。焦ったような声だ。おそらくSOS信号が急に途絶えたことが原因かもしれない。これは帰ったら怒られるなと思いつつ、直視した目の前の惨状に関して
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