EPISODE2 戦士
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〜同時刻 同所〜
何が起こったかわからない。ただ一つだけ言えるのは、今自分が人の姿をしていないということ。混乱する頭と腹部から来る激痛に耐えながら雄樹は目の前のノイズを殴る。拳に触れたノイズが灰と化し消えるのを見た緒川と了子は驚愕と同時に雄樹の身を案ずる。彼の身体に何が起きているのか。あの姿はいったい何なのか。
だが、今は考えている余裕はない。雄樹はこの場をなんとかしようと寄ってくるノイズを退け窓枠を飛び越えて二人に駆け寄る。
「五代君・・・・」
緒川の声に雄樹は無言でサムズアップを返し「大丈夫」と告げる。崩れゆく研究室から二人を脱出させたあと、ふと後ろを振り向く。
ネフシュタンの鎧に近づく、少女の影。それを認識した時、雄樹の身体は動いていた。名前を呼ぶ了子の声が落ちてきた瓦礫に掻き消えたのも気に留めず少女に近づくが、突如走った直感にサッと跳び退くとそこへ数発の矢が刺さった。こちらへの攻撃か、はたまた危ないから来るなという警告なのか。
少女がニヤリと笑う。その笑みに善意はなかったとわかった頃には少女がネフシュタンの鎧に触れていた。まばゆい光がほとばしり、鎧が起動すると腹部にまた激痛がはしる。完全聖遺物同志共鳴しているのだろう。意識が一瞬跳びそうになるのをなんとか堪えて逃げようとする少女に駆け寄る。上へと道を拓くように光を放つと飛び上がっていくのが見え、逃がすまいとしがみつく。
「しつこい・・・・って、どこ触ってんだテメー!」
初めて聞いた声はまだ幼さの残る女の子だ。
『ごめん!…けど、それすっごく危ないものなんだ。ここから出たら返してもらえるかな!?』
「ンなことするかッ!」
地上に出た途端に蹴り飛ばされ地面に落下する。背中から落ち、肺の中の空気が押し出されて嗚咽を漏らす。見上げるとそれなりの高さから落ちたのにも関わらずあまり痛みという痛みはないのが驚きだ。
『・・・・・!』
初めて見た地上はまさに地獄絵図だった。破壊され荒らされたアリーナ内部には灰や瓦礫があちこちにひろがり深紅の液体がいたるところに飛び散っている。ノイズが溢れかえこの世の終わりともおもえるような光景の中に、響く歌があるのに気づく。オレンジと青の軌跡が駆け抜けてノイズを散らしていくのが見えて二つのギアが発動していることから戦っているのが風鳴 翼と天羽 奏とわかり向かおうと立ち上がる。そこで、視界の端に見知った顔があるのに気が付いた。
泣きじゃぐる男の子の手を引いてノイズから逃げる少女。昼間友人とこのライブを楽しみにしていた幼馴染。
『響ちゃん!』
跳躍し、ノイズの前に躍り出て殴る。灰になったのに安堵して振り向く。此方を見て怯える姿をみて今自分が五代
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