EPISODE1 復活
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のスピードでまったく動じないこの上司も絶対におかしいと思う。雄樹は少し震える膝を抑えながら降りてあとに続く。行き違うスタッフにあいさつしながらお目当ての二人がいたことを確認して手を振る。最初に気づいたのは奏だった。
「ひっさしぶりだな雄樹!いつ帰ってたんだよ?」
「二週間前。奏ちゃんも元気そうだね」
もちろん、と互いにサムズアップ。
「奏は緊張しないの?」
後ろから顔をのぞかせた翼が憂鬱そうに言う。対照的に奏は「全然」とマイペースに笑うのを見てため息。これだけ大きなステージで、しかも観客数もかなりのものだ。緊張しない方が無理というもの。元気のなり翼をみて「でも!」と言葉を続ける。
「あたしはそんな緊張も楽しいんだよ。それに翼と一緒なんだ。なんにも恐くないし、できるって思えてくる。だから平気なんさ」
奏の言葉に元気づけられた翼の表情が少し明るくなる。
「翼ちゃん、俺も応援してるから。二人で思いっきり、悔いの残らないように全力で歌ってきな。会場では見れないけど、モニタの向こうからしっかり見てるから」
笑顔にサムズアップ。雄樹のトレードマークのそれは本当に不思議な力を持っていると弦十郎を含めた特異災害対策起動部二課の面々は思う。落ち込んでいた人間を一瞬にして励ましてしまうそれはまさに魔法のようなものかもしれないと。
翼の沈んだテンションも浮上する。奏に比べたら微々たるものだが、それでもしっかりと翼の励みになっているのがわかる。若いとはいいものだなと心中でおじさん臭いことを呟きながら時計を見る。
「さて、そろそろ俺達も戻ろう。それじゃあな」
「ハイ。じゃ、頑張ってね」
手を振りエレベーターへと向かう。アレにまた乗らなきゃいけないのか・・・・・そう思うとテンションが下がる。丸めた背をみてケラケラと笑いながら奏は、
「んじゃ、アタシ等も行きますか」
「うん。行こう、奏」
♪
〜PM16:30 地下研究施設〜
先ほどの司令室とは逆に薄暗い部屋に雄樹はいる。特殊強化ガラスの向こうにはケーブルにつながれたネフシュタンと完全聖遺物アマダムがある。実験開始時刻、つまいりはツヴァイウィングのライブ開始30分まえと差し迫った研究室は局員達がせわしく動いていた。なにもしない自分が激しく場違いだと思いつつなにか手伝うことはないかと聞くも「機械には絶対触らないで」と一同から言われ仕方なく了子の近くに立つしかない。たまに落ちた書類とかを拾ったり、力仕事をしたりすることはあってもやっぱり激しく場違いなのは否めない。さらに時間が進むにつれて増していく緊張感に自分までそわそわし
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