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勇者番長ダイバンチョウ
第15話 特攻上等!ご先祖様が遺した新たな力
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の為に残してくれた力なの。だから、これは貴方の物よ」
「要らねぇよ。あんな奴の作った奴なんざネジ一本に至るまで要らねぇ!」
「番!」

 バイクから遠ざかろうとする番を恵は厳しい声で呼び止めた。普段の優しい母からは聞く事のない声に真も少し驚いていた。

「何時までそんな子供じみた事を言ってるの?」
「あいつは俺達を捨てた男なんだ! そんな奴の残した奴なんて使ってたらお天道様に笑われちまわぁ!」
「今はそんな事を言ってる場合じゃないって、貴方が一番良く分かってるでしょう? 今は目先の事よりも未来の事に目を向けなさい」
「悪いが、幾らお袋の頼みでもこればっかりは使いたくねぇ! あんな男の力を借りるなんて、俺は嫌なんだよ!」

 番にとって、父は最早尊敬の値する存在ではなかった。嫌、そもそもあの男を父とは思ってすらいないだろう。それ程までに番は実の父を憎んでいたのだ。
 そんな時だった。突如、番の腕に供えられた腕時計型通信機がアラームを発した。
 緊急信号の合図だ。

「どうした?」
【番、急いで来てくれ! 敵の新手がきやがった!】
「分かった、すぐ行く!」

 通信を切り、バンチョウに向い走る番。

「番!」
「何だよ、今度は?」
「使いたくなったら、何時でも連絡を入れてちょうだい。私は此処で待ってるからね」
「その必要はないぜ。何せ、一生使うつもりなんてないんだからよぉ」

 そう言い切り、番とバンチョウは外へと走り出した。急ぎ外で戦っている仲間達の元へ向う為だ。
 その背中を心配そうに恵は見つめていた。いつか、番とあの人との間に出来た溝が埋まる日を夢見て。




     ***




 戦闘が起こっていたのは番町内であった。既に台風の影響で付近の建物が粗方吹き飛んでしまっていると言うのに、其処へ来て更に襲撃が行われているのだ。

【げぇっへっへっへ! 噂のダイバンチョウ達を倒せば俺達も極悪組の幹部入り間違いなしだぜ! 徹底的に叩き潰してスクラップにしてやらぁ!】
【兄者! 俺の事も忘れるなよぉ!】

 毎度御馴染みのゴクアク組の雑魚構成委員のようだ。余りにお馴染みなので紹介する事すら面倒になる。幸い襲撃して来た場所には殆ど人が集まっていなかったので人的被害はないものの、これ以上被害を拡大されては溜まったものじゃない。

「これ以上俺の町をぶっ壊されて溜まるか! 速攻で片付けるぞ」

 番の言い分どおりだった。待ってましたとばかりに襲い掛かってくる構成員達を次々に蹴散らしていく。この程度の敵ならばバンチョウ一人で充分過ぎる程だった。
 余りに呆気ない。呆気なさ過ぎて拍子抜けしてしまう程に感じられた。
 しかし同時に妙な感覚を覚えた。今まで散々煮え湯を飲まされ続
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