過去追憶編
逆らえぬ定め
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行く方が俺にはお似合いだ、言われた事はやり言われそうな事もやるそうやって生きてきた。
「承知しております。
私はいずれこの無月の家督を継ぎ無月家を守ります」
守る気など有りはしない。
家督など継ぎたくもない。
継いでも何も変わらない周りから妬まれるだけだ。
だが、俺は人の作ったレールの上でしか生きていけない。
そう自分でも解っているからこそ今の俺は成り立っている。
「うむ」
どうやらご機嫌は取れたようだ。
俺は顔には出さぬよう心の中で安堵する。
「これから話す事はお前次第の事だ。
心して聞け」
「はい父上」
そう返事をしたが俺はその話を聞きたく無かった。
何故なら大体、話の内容は理解出来るからだ。
どうせ無月家に関わる重要な話だろう。そんな話を聞いても俺には何も出来ない。
「まず、零よお前は何歳になった?」
意外な、質問だった。
息子の誕生日を覚えていない?
いや閻魔が覚えている筈が無い、人の血をが流れていない人間には必要の無い事だろう。
「今年で12で御座います」
後、1ヶ月もすれば俺は12歳となり歳を取る。
が、俺は別に歳を取る事を嬉しいとは思わない。
歳を取るという事は死期が早まるという事、歳など取りたくもないが時は止まらない。
ならそれに従うしかない。俺にはそれしか出来ないから。
「うむ、お前も立派になった」
「有り難きお言葉です」
俺はよく嘘を付く。
嬉しくもないが嬉しいと嘘を付き自分に何の利益も無いのに有難うと嘘を付く。
俺は嘘を平気で云う嘘つきだ。
「零、結婚する気は無いか?」
「け、結婚で御座いますか?」
今日は意外な事が多すぎる。
歳は聞かれるは結婚の話が出て来るわ、この男、正気か?
「うむ、縁談の話が来ておる。
無月と交流を深めたいと言って聞かん一族がおってな」
「その一族とは?」
無月と交流を深めたい?
そんな一族、正気では無い閻魔と同じ位に頭が逝かれている。
無月の一族は他の魔法師の一族に嫌われている。
理由もこれまた単純、魔法を打ち消す能力を持っているからだ。
魔法師にとって魔法は無くては成らない力、それを無力化する無月の遺伝的能力は正に悪魔そのもの
そんな一族と交流など深めようとしたら他の一族に嫌われる。
「お前も知っているだろうナンバーズの中でも指折りの一族、一条家を」
「はい、存じております」
まさか一条家とは思いもしなかった。
流石の俺でも顔が歪み唖然している所だが、なんとか平常心を醸し出し冷静に対応している。
「一条程の力を持った一族なら交流を深めていても問題ない。
逆にこちらとしては得も利益も有る」
得、利益?
俺は心
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