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いがみの権太  〜義経千本桜より〜
第六章
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 お里はこのことも父に話した。
「けれどそれを兄さんが」
「権太がか」
 弥左衛門の身体が震えだした。その名前を聞いて。
「あいつ、一体何処まで悪事を重ねれば気が済むのか」
「どうしよう、それで」
「あの親不孝者めが」
 まずは己の息子を忌々しげに罵った。
「最早勘弁ならん。今度会った時が最後だ」
 そう決意したその時に店に風格のある壮年の男が入って来た。弥左衛門もお里もその男の姿を見て彼が誰かすぐにわかったのだった。

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