DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第一話
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インヘルヤル自身も相当に強力な存在である。彼女が初めて姿を現したその日、キリトは仲間たちと共に、エインヘルヤルに挑んだ。
結果は――――惨敗だ。彼女が何事かを口にすると、背後にあの巨大な熊の悪魔が姿を現し、その権能を発揮したのだ。その能力によって、キリト達はまるで重力を余分に押し付けられたかのように動けなくなり、その隙に次々と倒されていった。
エインヘルヤル自身の物理攻撃能力は、外見の通りあまり高くないようだ。だが、問題は彼女の下が得させる悪魔。その剛腕からの一撃は、圧倒的なパワーを持ってキリト達を粉砕した。それだけではない。今はあの黄金のガイコツ軍団が彼女を守護しているため、キリト達はエインヘルヤルに近づくことすらできないのだ。
今日も、黄金のガイコツ兵に吹き飛ばされたところである。あの敗北から、ほぼ毎日のようにガイコツ兵に挑んでいるが、いまだ一度も勝つことができない。今日にいたっては、剣まで破壊されてしまった。
「くそ……っ」
思わず悪態が口をついて出る。
アンダーワールドを守りきったことで、VR世界を守ったと思っていた。あの世界で、自分は何か一つ突き抜けた、と思っていた。だが、現実はどうだ。大切なVR世界一つを守れていないではないか。
「くそっ、くそっ、くそっ……」
ガン、と、地面に自分の頭を叩き付ける。それで、頭が少し冷えたのか。多少冷静に考えることができるようになった。
アンダーワールドで出会った親友は、何といったのか。君は、何度だって立ち上がれる。そう言ったではないか。
ならば、彼の為にも、立ち上がるのだ。屈してはいけない。
「俺は――――《黒の剣士》キリトだから」
キリトはエクスキャリバーを握ると、それを支えにして立ち上がる。見上げるのは、世界樹の頂上。純白の死者の支配者が待つ、偽りの玉座だった。
***
《ガンゲイル・オンライン》のみならず、ほぼすべてのVRゲームにおいて、空気という感覚はほとんどない。そのため、呼吸をしたところでそれによる空気の乱れで気配を察知されることはほとんどないと言っていいだろう。
それでも、『奴ら』にもそれが通用するとは思いづらくて、シノンは息を止めたまま動けない。
GGOを惨劇が襲ったのは、丁度一週間前。第六回BoBが行われている最中だった。今度こそ自分の力だけで勝利を手にするために参加したシノンは、ゲーム内であの宣言を聞いたのだ。
《ノイゾ》と名乗った少女による、レギオン《白亜宮》を名乗る組織の、VRワールド侵攻。その言葉に違わず、わずか数分後に、BoBの大会に何者かが乱入してきた。
それは、たった二人の少女だった。
片方は、水色がかったSFチックなデザインのパ
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