に。
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品だからごちゃ混ぜなんじゃないかな。値段は安かったよ」
「……これだから内陸の人間は」
「あれあれ、電ちゃんもしかしなくてもコンプレックス持ち?」
「司令官さんには関係ありません」
ばっさりと会話を断たれ、仕方なくお茶を一口。うむ、新発売だけあってそれなりの新鮮味が。電ちゃんも少し疲れたようなので、部屋の隅に置いてあった安っぽいイスに二人して座っている。
会話のネタもないので、ようやく片付いた私の部屋──司令官執務室を見回す。白と灰色のカーペットは汚れの塊で、その下には綺麗なフローリングが敷いてあった。上に真のカーペットか何か引こうかとも思ったが、体力的に限界が近かったので今日はここまで。掃除だけならそこまで疲れもしなかったのだろうが、この部屋を住処にしていた虫さん達の攻勢が凄まじかった。退去を願ったのだが、それなりに反乱されて奮闘するハメになったのだ。特に真っ黒で素早くて空まで飛んじゃう子が強敵だった。名称をゴキブ・リーというらしい。もう出会いたくない。
「まったく、自分の事はなるべく自分で出来るようになってくださいよ」
「ははは、ごめんね電ちゃん。でも私の秘書官になってしまったからにはこれからはこんな日常を送る事を覚悟してほしい」
「……別の人を選んでくれればよかったのに」
「もう遅い!」
苦々しく口端を曲げる電ちゃんに、出来る限りのスマイルで返す。
「ん? 別の人ってのは、他にも電ちゃんみたいな子がいるって事?」
「電みたい、という事ではありませんが、他の候補はいたと思いますよ。あれ、司令官さんは電を自分で選んだんですよね?」
「…………どうだったかな」
転属を命じられたあたりからの記憶が実に曖昧である。なんかあらゆる物事をテキトーかつゾンザイに決めてしまったような。あまりのショックで頭が真っ白になったのだろうか。
「───ま、なっちゃったもんはしょうがないしぃ〜☆」
「それ、ぜったい電の台詞なのです!?」
「諦めが悪いよ電ちゃん。既に私は提督で、電ちゃんは秘書なのだ。諦めたまへ」
「なんてことなのです……電の、電の初めての司令官がこんな……こんなのって……」
どうやら私のポジティブシンキングに感化されたらしい電ちゃんがうれし涙を流し始めた。そうそう、人間には感動が大切なのです。ああ、お茶がおいしい。
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