に。
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んは電ちゃんなのでよろしく。やめてほしかったら口頭で私に申請の事」
「……はわわ」
軍なんて既に体制としか残ってないも同然なのに、体裁だのなんだのばっかり虚飾で満たしてなんになる、というのが一軍人としての私の持論である。今我々に必要なのは国民に広くアピールする親しみ易さがうんぬん。来たれ世界規模的ほのぼの。あ、でも仕事になるくらいならほんのちょっと争ってもいいのよ人類。
返答らしい返答もなく、電ちゃんが私の部屋を目指して歩き始めた。私も後に続く。
「変な人が着任したものです。司令官さんは争いごとに向いてないと思いますがどうでしょう」
「どうなのかねぇ。戦いらしい戦いなんて今じゃ滅多にないし、私自身、訓練以外じゃ戦闘行為なんかした事ないよ。内陸じゃ銃とか撃った事もないようなのが大半じゃないかな」
「やっぱり内陸の軍人は腑抜け揃いなのです。……着きましたよ」
「おお、ここがっ」
案内されたのは、長い廊下の先にぽつんとひとつだけ設置されたドアの前だった。やはり自動開閉装置はついておらず、前時代的なドアノブがやたら私の冒険心をそわそわさせる。
「は、入っても?」
「司令官さんの部屋なのですから、どうぞご勝手に」
「じゃあ遠慮なく!」
思い切ってドアを開ける。中には───
「なんか……私の知ってる“部屋”と違うんだけど」
部屋自体はそれなりに広く、住みやすそうではある。床には白色と灰色の中間色のような色合いのカーペットが敷かれており、その上に私の荷物がずいぶん杜撰に積まれていた。棚らしき置物とかもあるけどへんなネットが絡みついており、その中心にはおっきな昆虫が。ペット?
「掃除ぐらい自分でしろ、という事なのですね」
現状の把握ができていない私の横で電ちゃんがくすくすと笑う。おお、やっぱり笑うとすんごい可愛い。
「掃除って?」
「見れば分かるでしょう、埃の山と虫の王国ですよ、これ」
「埃? これが埃? ……へー」
「まさかとは思いますが貴様……初めて見た、とか?」
「いやだって、前住んでたところは仕事行ってる間に毎日ハウスクリーナーが」
「そんなものはここにはありません。何事も自分の事は自分で、が基本なのです」
「ふむ、了解したよ電ちゃん」
とりあえず電ちゃんとのティータイムは後になりそうだ。とはいえ、私のモチベーションは高く保たれている。好奇心パゥワーは面倒臭さを打ち負かすのだ。
「物分かりが良くて結構なのです。電は私室に戻っていますので、掃除が終わったら呼んで───」
「それでだね電ちゃん」
「なにか?」
「掃除ってどうやるの?」
「……頭痛がしてきたのです」
〜三時間後〜
「あー、お茶が美味しい」
「やけに高そうな茶葉っぽいですけど、銘柄はなんです?」
「さー? 内陸の合成
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