高校2年
第五十四話
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ていた。
(しかし、伊東の球に全く力負けしていないのは立派だな。このチームは強いぞ。)
阪濱は三龍ベンチを見る。
声を張り上げる選手たちに隠れるように、浅海が目を細めながら隅に立っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「お前らな、頭が悪いのか?」
「「いいえっ!」」
「どれだけ同じパターンで点を取られてるんだ?」
「「申し訳ありません!」」
「イケイケの相手に、こちらもイケイケで攻めていってどうするんだ?それで抑えても、それは相手が下手だっただけの事だ。お前らがしているのは相手の土俵で相撲をとる事だ。いい加減学習しろ。」
「「はいっ!」」
守備を終えて帰ってきた口羽バッテリーに、笠部監督の熱い指導が入る。バッテリーが、まるで合いの手のように揃った声を出しているのが傍目から見れば面白い。
「あーあ、おじいちゃん、今日はソッコー怒っちゃったじゃん」
5番の笠部が呆れた顔をしてベンチからネクストに出てくる。この笠部は、笠部監督の孫。監督をおじいちゃん呼ばわりしているのも、こいつだけである。
「取られた点は、すぐ返さないとな」
2回の先頭、4番の阪濱が顔を引き締めながら打席へと向かった。
<2回の表、口羽高校の攻撃は、4番ファースト阪濱君>
阪濱はどっしりと右打席にそびえ立った。鷹合にも匹敵するガタイ。4番の威圧感に溢れている。
(打ちそうだよなぁ。梶井よりも迫力があるわ。)
宮園は初球からスライダーを要求した。
様子見のストレートは打たれる気しかしない。
最初から一番の球で勝負。
キン!
(え?)
(はっ?)
打球はライト前に。見切ったように最初からライトを狙ったスイングで、美濃部のスライダーを鮮やかに流し打った。初見で美濃部のスライダーをこうも簡単に打ったバッターは阪濱以外には居ない。
(4番は、相手の決め球を正面から砕くもの)
阪濱は一塁ベース上で実に涼しい表情。
高校生だというのに、風格すら漂っている。
(阪濱はあんなガタイしときながら、実に優秀なアベレージヒッターだからな。高校通算打率.483は伊達じゃねぇぜ。)
阪濱に続いて打席に入るのは5番の笠部。
こちらも只者ではない雰囲気が漂う。
(で、阪濱がのんびりアヘ単やってられるのは、後ろのオレも同じくらい打つからだ!)
カーン!
鋭く振り抜いた打球は、右中間を真っ二つ。
一塁ランナーの阪濱は大きな体で、意外と機敏にダイヤモンドを回る。ライトの剣持からセカンド渡辺、そしてバックホーム。三龍の野手陣が懸命にボールを繋ぐが、一瞬速く阪濱が滑り込む。
(これが口羽打線の力だ!)
2塁ベース上で笠部はこれまた涼しい顔。
4番5番の連
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