魔人‐ファウスト‐part1/災いを呼ぶ少女
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。気になったサイトは視線をそちらの方に寄せると、そこに現れたのは予想外の人物だった。
「あれ?お前…」
「む…?」
そこにいたのは、以前の軍服姿ではない…黒い上着の下に赤いシャツという組み合わせの私服を着たシュウだった。そんなサイトの視線に気が付いたシュウも、サイトたちの方を見返した。
誰もが寝静まった夜の、ガリア国境の付近の小さな村の近くに、双月の輝きに照らされた湖があった。ここがモンモランシーがサイトに紹介した湖、ラグドリアン湖である。しかし、この湖では、ある脅威がすでに及んでいたのである。
湖畔に黒装束を身に着けた怪しい集団がいた。左に立つのは男性、隣には妖艶な雰囲気をまとった女性もいる。
『さて、水の精霊よ。もらうとしようか。お前の秘宝を』
彼がそう言うと、隣の女性が懐から青い模様の四角い機械を取り出す。
《バトルナイザー・モンスロード!》
異世界に似つかわしくない電子音と共に、四角い機械からカードの形をした紫色の光が飛び出し、湖の中に消えていった。すると、ラグドリアン湖の水面が一気に吹き上がった。
『ギィイイィィイィィ!!』
水の中から、猛獣さえも慄くような鳴き声が轟いた。水は津波のようにうねり、氾濫を起こす。その溢れる水の猛威に、二人はたじろぐことはなかった。
すると、水の中から別の人影が出現し、二人の前に跪く。その手には、紫色の宝珠の納められた指輪が握られていた。月光の逆光のせいか、その姿はうまく確認できなかった。
『目的の品を回収いたしました』
指輪を男性に献上すると、男性は満足そうに笑みを見せた。
『ははははは!!!手に入ったぞ…!これで、この○○○○○○は『虚無』を手に入れたのだ!!!』
その指輪を中指にはめた左腕を掲げながら、その男は天を仰ぎながら高笑いを浮かべていた。その後、彼らは氾濫を起こして周囲の湖さえも飲みこんだラグドリアン湖から退散したのだった。
「…」
男が高笑いを浮かべるその様は、シュウが見た過去のヴィジョンだった。
彼の変身するウルトラマンに選ばれた人間=『適能者(デュナミスト)』には、変身アイテムと護身用の銃だけじゃない。他にも特殊な能力を与えられる。それはビーストに襲われる、またはすでに襲われた場所で起こった惨劇を、ヴィジョンとして見ることが可能なのである。その能力があったからこそ、彼はフーケことマチルダを救出に向かうことができた。
だが…そうなると一つ思うのはテファの場合だ。彼女は盗賊に襲われた際、まだビーストに襲われいなかった。なのに、彼女の危機をその目でライブ映像のごとく見ることができたことに、シュウは疑問を抱く。
とにかく、今回もまたヴィジョンに先ほどのような光景を見たシュウは、このラグドリアン湖に何かがいることを知り、ウ
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