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魔法少女リリカルなのは平凡な日常を望む転生者 STS編
第53話 聖王器パールバティ
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空の上に居た。ふよふよと風船の様に漂う。夕焼け空に染まる赤い空はまるで地獄の空を描いている様に感じた。
『そうか、俺は死んだのか………』
そんな風に思いながら今まで行って来た事が走馬灯の様に頭の中に思い浮かぶ。
しかしその思考は直ぐにかき消された。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
バルト自身にも負けないほどの怒声が我に返らせた。
『な、何だ!?』
下から聞こえた声に釣られるように下を見るとそこは戦場だった。
しかしその戦場は明らかにおかしかった。
『1対………何百人相手にしてるんだアイツは!!』
数百人いる敵に向かって行く1人の男。その存在に驚きつつ、男の使っている斧に目が行った。
『あれは………バルバドス!!』
銀色に輝く大斧はその使い手による豪快な斬撃によってボールの様に人が吹っ飛ぶ。
『いや、似てるが違う………だがバルバドスに似ている………』
「怯むな!!討て討て!!!」
指揮官に鼓舞され、男に何10人と一斉に襲い掛かり、遠距離からも魔法が男を襲う。
「やられるかあああああああああ!!!!」
しかし男はそんな攻撃もろともせず、敵の波に突っ込んで更に蹴散らす。
『一騎当千………』
その無類の強さにバルトは思わず呟いた。
敵に攻撃され、傷つき、血を流し、それでも男は歩みを止めない。
「ま、まさか………」
やがて男は遂に指揮官だけを残し、敵を全て蹴散らした。
「後……は、テメエ……だけ……だ………」
「ふ、ふざけるな!!!」
虫の息の男にめがけて斬りかかる指揮官。それを交わす事なく、少ない動くで先に相手の首を落とした。
『………凄え』
思わず呟いた言葉。バルトにとっても驚愕してしまうほどの戦いだった。
しかし男は負った深手の傷に一生懸命耐えながら前へと進む。
その先には荒野には全く合わない綺麗な玉座の椅子に金髪の綺麗な女性が座っていた。
『ヴィヴィオ………?』
そう思ってしまったほど、その顔は似ていた。
「オリヴィエ………ったく、気持ち良さそうに寝ていやがって………」
『オリヴィエ………だと………!?』
オリヴィエと呼んだ女性の静かな寝息を聞いて嬉しそうな顔をしてその場に座り込む男。
体から多くの血を流し満身創痍なのはバルトも見ていて明らかだった。
「………そんなにその女がいいわけ?」
そんな不意に聞こえた声と共に赤い模様が入った黒い刀身が男に突き刺さっていた。
「く、クレア………?」
「あなたが悪いんですよ団長………あなたがこんな女に………」
刀を抜き、刀に着いた血をなめながらクレアと呼ばれた女が呟く。
「お、お前……が……
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