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魔法少女リリカルなのは平凡な日常を望む転生者 STS編
第53話 聖王器パールバティ
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大悟は心配そうに加奈を呼ぶ。

『私はパールバティ。聖なる光で安らぎを与える杖なり。しかし使えば光の恩恵の代わりに使い手に代償を与えるであろう………その覚悟があるならば使うがいい』

そんな不気味な言葉が聞こえてくるか加奈。しかし加奈の返答は早かった。

「恐ろしい事を言ってくれるじゃない………何か逆に試したくなってきたわ!!」
「加奈!?」

いきなり大きな声でそう宣言した加奈に周りも驚く。

「パティ、セットアップ!!」

すると再び目が眩むほどの光を放ち、それが収まると加奈の手には、宝珠を取り付けた立派な杖があった。
杖の先に赤い宝珠の物があり、白を基調とした杖は先ほどの物とは違い、聖王器ならではの威風がある。

「それがパールバティの真の姿………」
「それじゃあやるわ………」

そう言うと杖を持っていない手を杖の先端に寄せて、集中し始める。

「行くわよ………命の光よ、かの者に生命の息吹を!!レイズソウル!!」

詠唱を始め、それが終わると、宝珠から光が飛び、バルトマンを包み込んだ。

「………」
「バルト………?」

光が収まり、場は静かになる。しかしバルトマンに目立った変化は無かった。

「失敗したのか………?」
「いいえ、成功よ………バルトマンに私の魔力を加え、失った自己治癒力を向上させ、更に爆発的に活動させる。だから外見は目立った変化は無いかもしれないけど、早いうちに目を覚ますだろうし、暫くすれば動ける様になると思うわ。後は………あれ?」
「加奈!?」

いきなりクラっと立ちくらみを感じた加奈はそのまま倒れそうになるが、大悟が支えてくれたおかげで難を逃れた。

「大丈夫加奈!?」
「ええ………ちょっと休めば大丈夫。大分魔力を消費したから………」
「魔力を?」
「大悟のジルフィスと同じよ。魔力があればあるだけ効果が上がる。バルトマンを助けるのに急激に魔力を消費して目眩がしただけよ」
「そうか………なら良かった」

そう言って優しく加奈を座らせる。加奈がそう言ったが誰が見ても疲労が表に出ているのは明らかで魔力に関すること以外で何か原因がある様に見えた。

しかし大悟はあえて何も言わなかった。

「脈拍安定してきてます。加奈さんの言う通りみたいです」
「ああ………!!」

歓喜に溢れ地面に座り込み、涙を流すカリム。

「ありがとう加奈さん………」
「良いですよ、困った時はお互い様です………」

顔色が悪い中、加奈はそう答えた。

「加奈少し休もう」
「駄目よ、これから六課に行くんでしょ………?恐らく星達が話を始めているわ」
「そうだけど………」
「私は平気。車の中で寝てれば気分は楽になると思うわ」

弱々しくもそう答えた
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