オー・ケイ
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ああなんてきれいなんだろうと、彼女を見て思った。
透けるように、白い肌。青空のような、澄んだ瞳。
襤褸布をまとった男に手を引かれて、連れられて行く女の子。
すれ違って、惹きつけられた。立ち止まって、その小さな背を見つめる。
俺の視線に気がついたのか、くるりとこちらへ顔を向けた。
目と目が合った。
勿論赤の他人だから何の言葉も交わさぬまま「そのとき」は終わった。
今にして思えばあれは恋だった。間違いなくそうだと言える。
だって俺は今も時々あの子のことを思い出しては、人ごみの中にあの姿を探してしまうんだ。
一般的にはこういうのを一目ぼれというらしいが俺は違うと確信している。
あのとき俺は、彼女になにかを感じたんだ。いうなれば予感みたいなものを。
自分でもあほらしいと思う。でも、「あのとき」ほど胸が高鳴ったことはあれから今まで一度もない。
__一度も?
ああ、そうだ。一度も、は言い過ぎた。
アイツにはじめて出会ったときも、正直、心臓を鷲掴みされたような感じがした。
すごく懐かしく思った。この感覚、ずっと昔にあったなって。
こんなことを言ったら馬鹿だと思われるかもしれないが、
俺はもしかしてあのときの女の子は、アイツなんじゃないかって最近思い始めている。
そう思いたいだけかもしれない。本当は違うかもしれない。
でも、俺の記憶の中のあの子と、そっくりなんだ。
青く澄んだ、青空のような瞳が。
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