第十三話 向日葵の紹介その十二
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だが、だった。今の菫の言葉を聞いて菖蒲が言った。
「別に何もないわね」
「何もって?」
「私達の事情だから」
「事情ってどういうこと?」
「特に何でもないわ」
その事情はだ、菖蒲は話さなかった。
「気にしないで」
「そうなのね」
「そう。それではね」
菖蒲は菫がさらに聞こうとする可能性を考えてだった、話題を変えることにした。その話題は何かというと。
「今から食べましょう」
「ああ、飯な」
「食べないと何にもならないわ」
菖蒲は薊に極めて落ち着いた声で言った。
「人間はね」
「腹が減っては戦がってな」
「そう、だからね」
「食べましょう」
「何につけてもな」
薊も応えてだ、そしてだった。自分の弁当である寮で自分で昨夜のおかずの残りと御飯を入れたドカ弁の箱を開いた。その他の面々もだった。
それぞれの昼食を食べはじめた、しかし。
その食事中にだ、彼女達の前にだった。
怪人が出て来た。その怪人はというと。
「何だよ、ムカデかよ」
「そうみたいね」
禍々しい赤と黒の配色にだ、身体に無数の小さな足が人間の身体から出ている。その顔は完全にムカデのそれだ。
その怪人を見てだ、薊は顔を顰めさせて言い裕香が応えたのだ。
「あの姿はね」
「ちぇっ、あたしムカデ嫌いなんだよ」
「そうだったの」
「何か形がさ」
それがどうにもというのだ。
「気持ち悪いからな」
「それはわかるわ」
「まあな。戦うしかないか」
「それよね、出て来たから」
「よし、ちょっとな」
薊は弁当を食べるのを中断してだ、そしてだった。
立ち上がろうとした。しかしそれより前にだった。
向日葵が立ち上がった、向日葵は明るい声で皆に言った。
「私が食べ終わったからね」
「向日葵ちゃんがかよ」
「うん、闘うわ」
こう薊にも言う。
「そうさせてもらうわね」
「そうか、けれどな」
「けれど?」
「もう一人出て来たぜ」
見ればだ、そのムカデの怪人の横にまた怪人が出て来た。今度の怪人はというと。
やけに長い顔をしていて鬣がある、身体の色はダークブラウンであり短い毛がある。その怪人は何かというと。
「馬かよ、今度は」
「あっ、そうね」
「本当に色々出て来るよな」
「じゃあ一方は私が相手をして」
「もう一人はな」
薊が中断していた動き、立とうという動きを再開させようとした。だが。
ここでだ、不意に菫がこう言ってきた。
「何か?」
「どうしたよ、菫ちゃん」
「急に変な感じになってきたけれど」
こう言ったのだった、不意に。
「どうしたのかしら」
「!?何か菫ちゃんの周りが」
裕香が言った、その菫の周りを見て。見れば。
その周りがぼやけて見える、そして。
菫がそ
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