第四章
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第四章
「そして海に出ることはできないな」
「ええ、それは」
「わし等は河に住むものですから」
鰐達もそれはよくわかっていた。河にいるからだ。
「海にいてもやっぱり身体が合わないですよね」
「それだと」
「そうじゃ。そしてそれはこの鮫さんにも言えるのじゃ」
これまで通り始終泳ぎ回っている鮫をさしての言葉だった。
「この鮫さんにもな」
「ああ、そういえばさ」
そして鮫もまた長老の言葉に応えて述べてきたのだった。
「あんた達は普通に止まって寝られるよな」
「ああ、それであんたはずっと止まれないし」
「それに河の水は合うかい?」
「いや、あまり」
しかし実際のところはそうなのだった。鮫は海の中で暮らすものだ。河の中ではない。ここで鮫と鰐の決定的な違いが露わになった。
「実は海の水の方がずっと合うんだよ」
「やはりのう」
長老はそれを聞いて納得した言葉を出すのだった。
「それはな。鮫は海にいるもので鰐は河にいるものじゃ」
「じゃあ鮫はずっとここにはいられないんだね」
「やっぱり海に帰って」
「そうみたいだな」
鮫もそれで納得するのだった。
「わしはやっぱり海にいるのが一番いいな」
「じゃあ帰るのかい?その海に」
「やっぱり」
「そうするのが一番じゃ」
ここでまた長老が言うのだった。
「鮫さんにとってはな」
「わかったさ。じゃあ帰るよ」
鮫もそれに応えた。
「わしにとってもやはりな。ここにいるとな」
「身体の調子も悪いからだよね」
「それにやっぱりわしの居場所じゃない」
このことが一番大きいのだった。
「わしの居場所はやっぱり海だからな。そこに帰るよ」
「そうか。だったら今から」
「帰るとするさ。じゃあな」
「いや、待たれよ」
だが長老はここでもう海に帰ろうとする鮫を呼び止めてきた。
「それはだ。暫し待たれよ」
「何だ?何かあるのかい?」
「ただ一人で行くのでは礼に反する。皆で送りたい」
「あんた達全員でかい?」
「そうだ。わし等皆でだ。海まで送らせてくれ」
こう鮫に申し出てきたのだった。
「海にな。それでいいか?」
「海といっても遠いぞ」
鮫は長老の方を振り向いてこう言った。
「それでもいいのか?」
「いいとも。あんたは大事な客人だ」
客だからだというのだった。
「客をもてなし送るのは鰐の誇りだ。だからそうさせてくれ」
「別にそんなことはいらないがな」
「いや、そう言わずにだ」
長老は断ろうとする彼に振り切るようなことはさせなかった。
「是非共頼む。海まで送らせてくれ」
「どうしてもか」
「そう、どうしてもだ」
長老の言葉も強い。
「皆もそれでいいな?」
「ええ、勿論」
「わし等も鰐ですからね」
「是非
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