第129話 王允からの使者
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な。出向く前に使いを出すのでよろしく頼むぞ」
「夏頃ですね。畏まりました。王司徒も車騎将軍のご決断をお喜びなさると思います」
荀爽は正宗の言葉に安堵の表情を浮かべた。彼女は正宗の上洛をまとめるように王司徒からきつく言われていたのだろう。
「荀侍中、ゆっくりできるのか?」
「はあ。桂花に会ってから直ぐに冀州を立とうと考えています」
「王司徒は人使いが荒いようだな」
正宗は軽く笑った。荀爽は苦笑いを正宗に返す。
「そう働き詰めでは辛かろう。そうだ! 荀侍中は甘い焼き菓子は好きかな?」
「菓子ですか? 甘い物は好きでございます!」
荀爽の表情が明るくなる。この当時の甘味は超高級品で士大夫でもなかなか口にできるものでない。
「それは良かった。最近、清河国でケーキという菓子を開発したのだ。上手いので賓客を持て成す時に出すことにしているのだ」
「そのような貴重なモノをよろしいのですか? しかし、ケ・エ・キでしたか。妙な名前でございますな。どのような味なのでしょうか?」
荀爽は破顔し嬉しそうな表情で聞いていた。
「言葉では表現しにくい。食べてみるのが一番だ」
正宗はそう言うと玉座から立ち上がり壇上より降り、荀爽に付いてくるように促す。彼の後ろを荀爽と泉がついていく。
「こ、これは美味でございます!」
荀爽は正宗より差し出されたケーキを一口食べるなり微笑んだ。
「泉もどうだ。調度骨休めにいいだろう」
「それではいただきます」
「美味しい! これは美味しいですね。この柔らかくて白く甘いのが絶品でございます」
泉は目を輝かせて正宗を見た。
「それは良かった」
正宗は荀爽と泉の満足そうな表情を見て喜んでいた。その後、正宗は荀爽と泉は雑談に花を咲かせた。
「揚羽、冥琳、泉。王司徒は相当に董卓が嫌いと見えるな」
荀爽と別れた正宗は自分の執務室に揚羽、冥琳、泉を呼び付け今後の方針を話しあっていた。
「あの方は儒家の大家・郭泰様が目をかけられた方。その上、潔癖すぎる所がありますから。聞いた話では皇帝陛下に殺されそうになっても自らの信念を通そうとなされたそうです。董卓のやり方には納得できようはずがありません」
揚羽は笑みを浮かべて言った。
「都のことはとりあえず王司徒にお任せすればよろしいかと」
冥琳は真剣な表情で言った。正宗は冥琳に軽く頷き肯定の返事をした。
「王司徒は私以外の諸候にも声をかけると思うか?」
「荀侍中の様子では今のところ正宗様だけではないでしょうか?」
正宗の問いかけに泉が答えた。
「泉、荀侍中はどんな様子だったのです?」
「揚羽様、荀侍中は正宗様に上洛してもらわねば絶対に
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