第129話 王允からの使者
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の返答を残念そうに噛み締めるように聞いていた。
「王司徒は董少府が許せぬのだろうな。あの方とは直に話したことはないが伝え聞く限り、清廉で実直な気質そうだからな」
「車騎将軍は奥方に追手を放ち苦しめた董少府を許すことができるのですか?」
「恨みがないと言えば嘘になる」
「では王司徒にご助勢願えませんでしょうか?」
「今、私が上洛すれば董少府を誅殺することは造作ない。だが、都の警護のため私は身動きできず、冀州を留守にしてしまう。現在の幽州と青州の状況を見るにそれはまずい」
「皇帝陛下より地方の混乱が重要と申されますか?」
「滅相も無い。そのような恐れ多いことは考えていない」
「では!」
「荀侍中、腹の探り合いは終いだ。お前は桂花の親類。私にすれば身内も同然だ。忌憚なく話せ。王司徒が董少府を排したい理由は皇帝陛下のためでなかろう。単に董少府が気に入らないから排したいだけだと思うが違うか?」
「それは」
「董少府が皇帝陛下と朝廷を蔑ろにし、専横極まる行為をした訳ではあるまい」
「董少府のやり方はあまりに目があまります。いずれ皇帝陛下と朝廷を蔑ろに専横を極まることに。そうなる前に董少府を」
「ならば、そうなった時に潰せばいい」
正宗は荀爽の言葉を遮り冷酷な目で見つめた。
「荀侍中。お前は何をしているのだ。民草が困窮していることなどお構いなしに政争に明け暮れる王司徒の片棒を担ぐとはな」
正宗はいきなり荀爽を叱責した。その表情は厳しい。
「私は使者としての勤めを全うしようとしているだけです」
「であろうな。王司徒のみの言い分を聞いただけでは董少府の行状は真実とは言えまい。両方の意見を聞かねば公平な判断は出来ぬと思うが」
「王司徒をお疑いで?」
「いいや。疑ってはいない。私は相手が目上の者であろうと公平さを保つことが大事だと考える。王司徒とてそうであっただろう」
正宗は先ほどの厳しい表情はなりを潜め優しい表情を荀爽に向けた。王允は若かかりしころから正義感溢れる一本気な性格から度々朝廷と衝突を行なっていた。正宗は彼女の性格を読んで敢えて「公平」という言葉を使った。これで正宗が上洛して即董卓を叩き潰すという道筋は無くなる。しかし、董卓の出方次第では荒事になることも考えられ、正宗は上洛時に引き連れる部将を厳選することになる。
「とはいえ王司徒の気持ちもよくわかる。大軍を連れて上洛をするつもりはないが折りを見て上洛をしよう。その時は王司徒にお会いした後、董少府にも面会したいと思う」
「真ですか?」
「約束する。調度荊州に出向く用事がある。帰りに洛陽に寄らせてもらおう。その方が董少府を刺激することもないだろう。悪戯に董少府を刺激しては話もできんだろ」
「何時頃になりましょうか?」
「一月半後となるか
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