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夏の始まり、七夕フェイズ 魏
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供みたいな人。
 それが可愛く見えて、余計に好きになってる私はおかしいのかな。

 結局、秋斗さんはその後に霞さんと春蘭さんに追い回されて正座させられ、挙句の果てに桂花さんに精神的に追い詰められていた。
 華琳様は楽しそうに声を上げて笑って、その様子を見ていた。
 皆も楽しそうで、こんな平穏をいつまでも続かせたい、と心から願った。

 楽しい催しが終わり、葉竹は練兵場の端に飾っておいて、片付けも終わった頃、秋斗さんに呼び出された。




 †




「最近暑くなってきたし、息抜きにはなったかねぇ」

 ゆったりと話す彼は穏やかな表情に達成感を浮かべていた。
 彼の膝の上で、二人で星を見上げている。
 流れる時間は穏やか、地和さんが作ってくれた氷の余りを貰って風上に据えたからか、ひんやりとした風が心地いい。

「あれが彦星、あれが織姫。一夜だけの幸せな時間は、雲が覆い隠さず、雨が降らない限り達成される」

 二つの煌く星を指さして、小さく声を流した。
 この人は今、何を考えてるんだろうか。
 自身の事を重ねているのではないだろうか。
 コツンと、頭を彼の胸に当てて見つめた。気付いた彼と目が合い、そのまま見つめ合う。

「大丈夫。俺はもう、お前を悲しませないから」

 いつかのように額に口づけを落とした彼は、照れたのかふいと顔を背けて頬を指で掻いた。

「あわわ……」

 恥ずかしくて、額を抑えて俯いてしまったけど……彼が可愛くて、愛しくて、自然と幸せな笑いが零れた。

「ふふ、大丈夫です。華琳様も、月ちゃんも……皆で――――すから」

 最後まで言うと、彼は優しく微笑んだ。

「ははっ、やっぱり敵わないなぁ。雛里だけには」

 幸せな時間は、これからもずっと続いていく。
 やっと戻ってくれた彼と、信じ合う皆と一緒に、ずっとずっと続いていく。

「日輪と真月の光を妨げる雲は、皆で払って見せます。私達が作った空は、いつまでも綺麗な色を映して貰いますから」
「ああ、そうだな。これからもずっと、皆で、な」

 私の願いは私が……否、私達皆で叶える。天に叶えて貰う必要は無い。
 もう既に叶っていて、これからも叶え続ける願い。

――――彼と一緒に平穏な世界を作っていく

 満天の星が煌く夜天に目を向けて、私達はしばらくその美しさに見惚れていた。
 静かな夜の空気は私達を世界から隔離しているようで少し寂しい。でも彼がくれる温もりが私の心を満たしていた。
 そんな夏の始まりの夜の出来事。




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