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しろ
うみ
[前書き]

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「なるほど、それでお二人は、主従関係にあるんですねぇ」

男は俺たちにイカ焼きを手渡し、にこにこうなづいた。今のでよく納得したな。
自分でも信じられないような境遇にあるから、ここまですんなり信じられるとは思わなかった。
この男はよっぽど素直らしい。

「それで今日は、あのお城を見に来たんですか?」
「そうだ」

イカ焼きを頬張りつつ、べにこが続ける。

「私の学校でも、最近はあの城の話題でもちきりだ。今日は休校日だから、ぜひとも行こうと決めていてな」
「あはは。ほんと、休みの日はすごい人ですよ。まぁ、それにしても大昔から空に浮かんでるあれが、今更こんなに話題になるなんて、思わなかったなぁ」

店主は、どこか懐かしそうな顔で呟いた。

「聞いた噂だが、なんでもあの硝子の浮遊城には、お姫様が眠ってるらしいじゃないか。それもとんでもない美人が」
「そうらしいですねえ。ここらでは、昔からそういう伝説が伝わっているんですよ。本当かどうか、わかりませんけどねぇ」

昔から伝わる、とは初耳だ。てっきりここ最近噂され始めたものだと思っていた。
俺は何となく気になって、尋ねてみた。

「へー、そりゃ初めて聞いたなぁ。ただの都市伝説かと思ってたっス。他には」
「口をはさむなシモベ。店主、他に何か知っているか?」

べにこも気になったらしい。

「そうですねぇ…」

店主は上の辺りを見ながら言った。

「あれ、昔は王国そのものが、空に浮かんでいたそうですよ」

「国そのものが?」
「ええ」
「詳しく聞かせてくれ!」
「いいですよ」

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