第二章
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第二章
その幾分か大きい蜜柑の袋を食べながら。さらに弟に話してきた。
「雰囲気やで」
「雰囲気?」
「そうや、雰囲気や」
それだというのである。
「それから尋ねてきてるんやで、由紀ちゃんは」
「わしの雰囲気か」
「だからあんたは学校の先生やで」
またこのことを話す静子だった。
「学校の先生の雰囲気が自然に出て来てるんや」
「そうなんか」
「そうやろ。だからあんたに質問してくるんやで」
「そうやったんか」
言われて僅かではあるが納得した。考えてみれば大学を卒業してからもう二十年になるがずっと教鞭を取っている。もう教師の仕事が板についてきていると言って過言ではない。
その彼自身を考えてみるとだった。確かに雰囲気が出て来ていても不思議ではない。そうしたことを考えて納得するものが出て来たのである。
そうしたことまで考えながら。また口を開く兼修だった。
「子供でもわかるんやな」
「感じてるんやで」
それだとまた言う静子だった。
「あの子もちゃんとな。感じてるんやで」
「そうやったんか」
ここまで話して今度は完全に頷くことができた。
「あの子はわしからそういうのを感じてるんやな」
「それで頼りにしてるで」
今度はにこりと笑って兼修に話してきた。
「あんたをな」
「そうか。頼りにしてくれてるんか」
「あんたやったら答えてくれる」
このことを話す。
「それで教えてくれるって。絶対にや」
「まあわしは尋ねられたら答えるで」
兼修はそれが何でもないといったふうに答えた。ここでまた蜜柑を一袋口の中に入れる。そうしてまたその甘酸っぱさを味あうのだった。
その甘酸っぱさを楽しみながら。また姉に答えた。
「絶対にな」
「そやろ。だから由紀ちゃんは尋ねるんやで」
「それも感じてるんやな」
「そういうことや。わかったやろ」
「ああ。わかった」
姉の言葉に対して頷いた。
「これでな。よくな」
「ほなこれからもな」
「ああ、答えるで」
にこりとした笑みになった兼修だった。
「これからもあの子の質問にな」
「そうしたらええわ。ずっとな」
「けれどあれやな」
話が一段落したところで少しばかり苦笑いを浮かべてまた言う兼修だった。
「これがずっとやとな」
「困るってことはないやろ?」
「いや、やっぱり大人になってもこれやったら困るで」
かなり先のことを話すのだった。
「ほんまに。そんなんやったらな」
「あっ、よう言わんわ」
今の兼修の言葉には思わずこう言ってしまった静子だった。言いながらまた蜜柑の袋を手に取っていた。当然食べる為である。
「幾ら何でもそれはあらへんやろ」
「いや、わからんで」
困ったような笑みを浮かべてさらに言ってみせた。
「あの
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