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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十二話 要塞攻略案
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小官も見ましたが余りにも詳細に過ぎると思うのです。今回の反乱を契機に考えたとは思えないのですが……」
会議室の空気が重くなった。皆も考え込んでいる。
「ガイエスブルク要塞の事など小官はこれまで気にした事は有りませんでした。具体的な要塞の性能など何も知らなかった。しかしあの作戦案にはガイエスブルクの持つ性能が記載されています。同盟に居たエーリッヒにガイエスブルク要塞の事が分かったとは思えません。それなのに何故あの作戦案が出て来るのか……」

「帝国に居た時に考えた、そう思うのだな?」
クレメンツ提督が答えるとミュラーが“ええ、そうとしか思えません”と頷いた。呻き声が起きた、ビッテンフェルトが“馬鹿な”と呟いた。俺も馬鹿なと思った。帝国に居て何故イゼルローン要塞攻略を考えるのだ?

「そうですね、馬鹿げています。しかしどう考えてもそうなるんです。……あいつ、一体何を思ってイゼルローン要塞攻略を考えていたのか……」
最後は呟く様なミュラーの口調だった。皆が顔を見合わせた。
「ゲーム、かな」
ロイエンタールが呟いた。皆の視線がロイエンタールに集中する。ロイエンタールが困惑を見せた。

「いや、何となくそう思ったのだ。難攻不落など無い、ただそれを証明したかったんじゃないかと」
「……」
「馬鹿げているかな?」
俺には答えられなかった。そして誰もロイエンタールの問いに答えなかった。



帝国暦 487年 8月 30日  オーディン  新無憂宮  オットー・フォン・ブラウンシュバイク



「皆、御苦労である。これよりイゼルローン要塞攻略の作戦会議を始める。始める前に注意しておく。今回の一件、帝国の一大事である。故に陛下の御臨席を願った。皆、忌憚無い意見を述べるように」
新無憂宮の一室で会議の開催を宣言すると出席者がそれぞれの表情で頷いた。

軍からは軍務尚書エーレンベルク元帥、統帥本部総長シュタインホフ元帥、宇宙艦隊司令長官オフレッサー元帥、宇宙艦隊総参謀長ミューゼル大将、科学技術総監シャフト大将。他には内務尚書リッテンハイム侯、財務尚書ゲルラッハ子爵が出席している。そしてアマーリエとわしの合計九人。

場合によってはイゼルローン要塞の破壊を選択するという事も有り得るだろう。アマーリエがここに居るのは皇帝も了承しているという事を示すためだ。それほどまでに今回の反乱鎮圧は厄介で複雑な事になっている。何と言っても攻略案を示してきたのは同盟なのだ。

「先ず、ガイエスブルク要塞をイゼルローン回廊まで移動させる事が可能かどうか、シャフト技術大将、科学技術総監部の意見を聞きたい」
皆の視線がシャフト技術大将に向かった。同盟からの連絡にはシャフトがフェザーンと通じている可能性が有るとの指摘も有った。

シャフト本人
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