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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十二話 要塞攻略案
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思う。ヴァレンシュタインはイゼルローン要塞を難攻不落たらしめている三つの要因を無力化しようとしているのだ。ガイエスブルク要塞と圧倒的な艦隊戦力が有ればそれが可能だと考えている。彼が示した四つの攻略案はいずれもその事を示しているだろう」
「なるほど」
メックリンガー提督が相槌を打った。皆も頷いている。

攻略案は四つあった。一つ目はガイエスブルク要塞をトール・ハンマーの死角に運びそこから要塞主砲で攻撃するというものだ。反乱軍がそれを妨害しようと駐留艦隊を出撃させてもこちらの方が兵力は多い、簡単に撃滅出来る。連中にはイゼルローン要塞が破壊される前に降伏するしか生き残る道は無い。

二つ目はガイエスブルク要塞の主砲を以ってイゼルローン要塞のメインポートを射程範囲内に捉えるというものだ。そうする事で駐留艦隊の出撃を封じる。そしてこちらの艦隊を以ってイゼルローン要塞の外壁を破壊しそこから陸戦隊を送り込んで内部から制圧する。自由惑星同盟が第六次攻防戦で行った戦法だ。制圧目標は司令部、又は核融合炉になる。

三つ目はガイエスブルク要塞をイゼルローン要塞にぶつけるというもの。これが一番驚いた。説明を受けているときも“馬鹿な”、“正気か”という声が出たほどだ。但し作戦にはぶつけると言って降伏させろと書いてあったらしい。主目的はぶつける事よりも降伏を促す事なのだろう。そして四つ目は上記三案を反乱者達に通知し降伏を促すというものだった。

「ガイエスブルク要塞を見れば、そしてガイエスブルク要塞の主砲で一撃されれば、それだけで連中は戦意を喪失するかもしれん。連中が反乱を起こしたのもイゼルローン要塞が難攻不落だと思えばこそだ。それが崩れれば反乱は早期に終結する可能性が有るな」
「というより内部分裂が起きる可能性も有るんじゃないか」
ロイエンタールとミッターマイヤーの遣り取りに皆が頷いた。

「ガイエスブルク要塞の改修には結構時間がかかる筈だ。その間はこちらも艦隊訓練に専念できる。そういう意味でも有り難いな」
「そうだな、ワーレン提督の言う通りだ。どのくらい改修に時間がかかるか分からんが一月という事は有るまい、もっとかかる筈だ。反乱鎮圧には万全の状態で取り掛かれるだろう」
満足そうだな、ビッテンフェルト。

先程からミュラーは会話に加わらず深刻そうな表情で何かを考えている。彼とアイゼナッハだけが何も喋らない。
「ミュラー少将、何か気になる事でもあるのか?」
声をかけるとミュラーは困ったような表情を浮かべた。

「クレメンツ提督、提督はエーリッヒがあの作戦案を考えたのは亡命してからだと思いますか?」
クレメンツ提督が訝しげな表情を浮かべた。
「……違うというのかな、ミュラー少将」
ミュラーが“ええ”と頷いた。

「エーリッヒの作戦案を
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