第一章
[2/2]
[9]前 最初 [2]次話
しこのことはまだ由紀夫にはわからないとも思うのだった。
「けれど由紀ちゃんはまだ言葉話せるようになったばかりやしな」
「まだあんたの仕事がわからへんっていうんやな」
「わかる筈がないで」
そうとしか思えなかった。兼修は姉に言いながら蜜柑の袋を一つ口の中に入れた。そうしてそれを口の中で噛んで味あうのだった。
その蜜柑の甘酸っぱさを楽しみながら。さらに姉に対して言うのだった。
「そんなのは」
「わからへんっていうんやな」
「そや。それで何でわしにばっかり尋ねるんや?」
どうしてもそれがわからないで首を傾げるのだった。
「それがなあ」
「それはあんたあれやで」
しかし静子は穏やかな笑みで彼に言うのだった。言いながら彼女もまた蜜柑の袋を口の中に入れる。それは兼修が口の中に入れたものより幾分大きかった。
[9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ