第一話
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宅した。
そして昼過ぎ。腹の具合に苦しみながら三本目のペットボトルを空にした時、ぴんぽーんと届いたのだ。いつかに出した週刊誌の懸賞が。
例の友人の方は残念ながら幸運に恵まれなかったようだが、所詮初回ロットではあるし、彼は悠斗とは比較にならないほどのゲーム好きだということも考えれば、そう遠くないうちに一緒にプレイすることもできるだろう。むしろこれくらいのハンデがあってちょうどいいというものだ。
と、そんなことを思い返している間にナーヴギアが仮想世界に行く最後の仕上げをしてくれたようで、ごく単純な電子音を鳴らし、せわしなく点滅を繰り返していた光が落ち着いた一粒の灯りへと変わった。これで後はサービス開始の午後一時にコマンドを唱えるだけだ。
回線やらがうまくいってくれたことに安堵のため息を漏らしながら、悠斗は今時珍しいアナログの目覚まし時計に目をやった。するといつの間にそんなに時間がたっていたのか、その針は、一時になるまさに手前、零時五十九分を指して刻一刻と進んでいた。
「……ッ!いつのまに……」
内心で舌打ちをしつつ、悠斗はナーヴギアの説明書にある通り、ゆったりとした服装、そこらにたたんであったジャージに全速力で着替え、ヘッドギアを被り、ベッドに寝転がった。
息まで切らしながらそこまでを終えて、最速スタートダッシュはできなかったなと、再びアナログ時計に首を向けると……
――俺の時間間隔はどうかしてしまったんだろうか。
秒を刻む針は先ほどの位置からわずかしか進んでいなかった。
ともかく、これでまだ最速スタートの可能性は残されたわけであるから、そこのところはまあ、よかったということなのだろう。
悠斗は、頭の中のもやもやをそうなだめると、一時まで後三秒という時計から目を離し、閉じた。
途端に押し寄せてくる雑念を押しのけ、脳内のカウントがゼロになった瞬間、俺は口を開いた。
「リンク・スタート!」
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